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2000.07.06[木] 掲載
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日々雑感 - DoromPATIO
■ 災い転じて福となさず
雪印乳業食中毒事件
2000.07.13[木]更新
2000年夏に関西地区で発生した雪印乳業食中毒騒ぎは被害者総数が1万人を超えた。社長の引責辞任は当然として、その後、更に東京多摩地区の同社工場でも規則違反などが見つかった関係から、とうとう全国的な雪印製品排斥運動にまで発展しそうな勢いである。
ちなみに筆者の自宅の近所のコンビニ(ミニストップ)の乳製品コーナーには既に雪印製品は無く、更に現在並んでいる他の商品には心配がない旨の張り紙がしてある。それにしても、今回の雪印乳業(以下、雪印)の食中毒発生発覚後の対応は、それ自体が犯罪であると断言できるほどに酷すぎた。直前の参天製薬(には直接の責任は何もない脅迫事件)の過剰反応とも思われる製品回収実施とは正反対であるが、結果的に「参天製薬は大したものだ」そして「それにしても雪印はひでぇ会社だ」と言う連想が拡がっていると思う。
筆者も個人的には今後何がどうなろうと、もう二度と雪印の乳製品を自ら手にすることはないだろうと思う。さてそれでは何故このようなことになったのか?
もちろん、食中毒の原因そのものは雪印大阪工場(あるいは雪印の工場全般において)の品質管理が極めていい加減だったことにつきるのだが、しかし、問題がここまで大きくなり、ひいては企業業績にまでかなりの影響が出るほどになったのは、いわゆる安全管理あるいは危機管理体制の欠如並びに同時並行的に発生した隠蔽隠匿最優先の企業体質であることは言うまでもない。
つまり東海村の事故と同じであり、そしてつまり、我が国政府と同じ病理である。事故(過失)原因の究明は保健所や警察にお任せするとして、食中毒発生後の対応をテレビや新聞などから拾ってみると、阪神淡路大震災の時の村山首相の「なにせ、はじめてのことなもので」と言う悪意はないが責任能力もなかった(もちろん、日本国の首相に責任能力がないのは論外なのであるが)と言うのとは違って、恣意的に事態を隠蔽し過小評価しているのは今や小学生でも分かっていることだ。
  • 社長は最初の記者会見で、いかにも「大した事件では無い」という態度だった。
  • よって引責辞任など論外と断言。
  • 事態が明らかになるとしどろもどろ。
  • 工場長が実態を明かすと絶句。
  • 立ち入り検査前にバルブなどを全て洗浄して意図的に証拠を隠滅。
  • 総務担当者は問題のバルブの前に立ちはだかって、報道陣に撮影させまいと意固地になった。あれをテレビで見ていた家族はどんな気持ちだったことか……。
  • 当該製品の回収指示も工場側が問題を最初に把握してから20時間以上後であったが、これは本社の役員の指示を待ったからだそうである。
と言うわけで、ここまで積極的に企業イメージを自ら破壊すれば、消費者は喜んで雪印製品不買に走るし、流通側もこの期に及んで好きこのんでわざわざ雪印製品を扱うわけがない。既に主要百貨店はこの夏のお歳暮のリストから雪印製品を外した。
ここまで積極的に工場管理のいい加減さをアピールすれば、全国の自治体や保健所は雪印と名の付く工場は全部立ち入り検査するのは当然であり、そうなれば次から次へとぼろが出るのはこれまた当然の成り行きである。大体、雪印製品が本当に今日この瞬間から一切合切全て市場から消滅したとしても、それで困るのは雪印の関係者(専売店などを含む)だけなのであって、我々消費者からしてみれば、明治も森永も小岩井(は乳酸飲料でポカをやったらしいが)も農協牛乳もあるんだから日々の生活で不便になる可能性は皆無である。
これが市場経済導入前のソ連だったら本当のパニックだろうが、日本は同質競争的資本主義社会だから、あるジャンルの消費財は必ず複数のメーカーが無個性で同質同価格の商品を多量に供給しているんだから。であるからこそ、今のトレンドで言えばCRMみたいなのが日本でこそ重要になってくるときに、まるっきりその逆を行くんだから雪印ってのも酔狂な会社であるかも知れない。
そもそも食品を扱うと言うことは危険と隣り合わせなんだから、常日頃から安全管理を徹底するなんてことは常識以前の常識だと思うし、これほど簡単に企業イメージを最低にまで落とし込むってのは、やろうと思ったって普通は出来ないはずなのだ。
なのにわずか1週間ほどで、それを見事にやってのけたのだから電通もゲッペルスも形無しである。と言う逆説的誉め殺しをしたって意味はないのだが、それにしても、この種の隠蔽隠匿体質を持った企業が多すぎる。過去の例を挙げれば枚挙のいとまがないと言う奴になるだろう。
そして、そう言うことが何度繰り返されても、事態は改善されないのは本当に不思議である。事故や過失は必ず起きる。起きることを前提に、だったら起きたらどうするかを考えるのが欧米合理主義的対応であるが、昨今低迷日本株式会社は政府を含めてとにかく隠そうとする。あるいは隠し通せると信じ込むらしい。ブッシュ大統領は在任中に前癌症状を公表し手術し公務に復帰したが、あっと言う間に亡くなった小渕前総理の病状の本当のところは永久に謎のままである。これだけ情報公開だディスクロージャだと言われているのに株主総会集中日という近代の資本主義国家では恐らく日本だけの悪習が無くなる可能性もまるでない。要するに何が起きても本質的には何も変わらないのが日本なのであり、過剰な期待は精神衛生上宜しくないと言うことであろう。大橋巨泉の著書が売れるわけである。

この記事を書いてからちょうど一週間。
雪印乳業食中毒事件は収束するどころか破茶目茶なことになってきている。退陣予定はないとうそぶいていた無能社長は退陣を表明し、他の製品でも食中毒が発生し、さらには返品された加工乳を原料に混ぜていたと言う信じがたい事実までが発覚し、そしてとうとう、市乳工場(と言う業界用語を記者発表で使うこと自体、常識がない証拠だが)全てを一時的に閉鎖することとなった。主要な流通業、つまりスーパー、コンビニ、百貨店は軒並み雪印の全製品の取り扱いを中止した。そして行政側も学校給食などから締め出しを図った。何十年もかかって築きあげた雪印ブランドをわずか1週間で無価値にしたのだから現経営陣並びに工場の管理者の責任は余りにも重い。雪印の英語社名が「SNOW BRAND」であるのはブラックジョークとしては出来すぎである。
それにしても事件発覚後の社長や役付役員の記者会見での対応や態度は、日にちが経っても事態の危急性をまるで理解していなかったとしか思えない。もっともストレートに表現すれば馬鹿だと言うことだが、同じようなことが起きた場合に、やはり同じようなことになってしまう日本企業はきっと、とても多いことだろう。ちなみに、この原稿を書いている2000年7月13日[木]現在、雪印のHomePageは今回の事件関係のお詫びを主としたコンテンツだけとなっている。
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