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ワープロやパソコンが普及する前は文章を書くというのは結構手間のかかることだった。特に筆者のような乱筆悪筆の人間の場合、文章を書くことは好きでも、書いた結果が美しくないから結果的に文章も書かなくなると言う悪循環があったのだが、それがワープロそしてパソコンで解消されたのは嬉しい限りである。
そうこうしているうちに世の中は完全にインターネット時代あるいはIT時代になったわけだが、そこにおいて「流通量」が桁違いに多いのは勿論E-Mailである。しかしE-Mailは元々は英語圏で発明されたものであるために、日本で使うには色々と問題が多い。また、筆者の考え方としては通常のE-Mailはあらゆる意味で簡潔明瞭であることが望ましいと思うのだが、その辺を勘違いしている人も多い。
と言うわけで、インターネット時代・IT時代にふさわしい文章作法についてちょっと考えてみよう。 |
E-Mailは簡潔明瞭がベストと書いたが、この点に関する最良の見本はちゃんと日本の歴史の中に存在する。 |
「一筆啓上 火の用心 おせん泣かすな 馬肥やせ」
(c)本田作左衛門[享禄2(1529)年〜慶長元(1596)年]
天正12(1584)年、家康の部下であった作左衛門が
戦の地から国元の妻へ送った手紙
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この名文は今更論評の必要がない程に完璧である。しかし、短いという意味ではもっと上がある。
かの文豪ビクトル・ユーゴーが「ああ無情」が出版された後で出版社宛に送った手紙とその返事である。 |
ビクトル・ユーゴー 「?」
出版社からの返事 「!」
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これもあまりに有名だから解説は不要だろう。
まぁしかし、ここまで簡潔である必要はないにせよ、E-Mailにおいては、だらだらと意味のない季節の挨拶があったりすることに意味はないと筆者には思えるのである。 |
と言うわけでE-Mailにおける文書作法の基本は下記の項目に集約される。
- 書き始める前に何を書くか書きたいか伝えたいかの全体像を把握しておく(当たり前だし言うまでもないが、これが一番大切である)
- メールソフトの設定で送信文書の形式はプレーンテキストにしておく。つまりHTML形式としない
- 表示フォントは等幅フォントに設定する
- 本文以外は左寄せでレイアウトする
具体的には「敬具」などを右に寄せない。センタリングを使わない
- そもそも「拝啓 → 敬具」「前略 → 草々」は不要である
- 本文は内容を考えて段落分けと行変えをうまく使って読みやすくする
- 説明的な文章の場合は箇条書きを活用する
- 仕事関係、目上に対しては顔文字はなるべく避ける
- プライベートの場合も顔文字を使いすぎない
何事も過ぎたるは及ばざるが如し(^^;;
- (後述の)文字種に注意する
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自分の文書作法が確立する以前のコツとしては、自分が受け取った沢山のE-Mailの中で、他と比べて明らかにとっても読みやすいものがある筈なので、そのMailが「何故読みやすいのか?」を、他の読みにくいものと比較してみることが役に立つ。
やっぱり何事もいい意味で真似をすることは大切なのである。 |
簡潔明瞭な文章と同時に重要なのが文字種の問題である。と言っても世の中の90%以上を占めるWindowsユーザーのそのまた90%以上の人は何の話だか全く分からないだろうが、専門的に言えば機種固有文字あるいはOS固有文字についての話である。
具体的に言えば、日常的に使っている丸付き数字、括弧付き数字、括弧付き略語などを意味する。
例えばWindowsでは(1)と読める(見える)一文字の特殊記号をMacで見ると[日]になる。Macでハートに見える記号はWindowsでは全く見えない。
何故こう言うことが起きるのかと言えば、それは日本語として日常的に使われる記号などが最初っから全てちゃんとJIS規格で決められていなかった(網羅されていなかった)ことから起きた混乱である。だから日本語ワープロ時代から富士通のワープロと東芝のワープロでは記号などの互換性がなかったのである。それと同じ事がMacとWindowsでも発生するのである。
このことは意外なほどに知られていないので、有名な大企業のサイトでも平気で文字化けが起きたりする場合がある(もちろん、それが起きるのはMacで見た場合の話だが)。 |
文字種の問題を避けるには、幾つかの大原則を各自が守るようにするしかない。
- 普段から(E-Mailに限らず)機種固有文字をなるべく使わないようにする
- 同じく半角カナも使わない
- 丸付き数字、括弧付き数字、括弧付き漢字は全て半角括弧記号と数字または漢字で作成し、それを単語登録しておく
※例:(1)、(株)、(有)
- ローマ数字は半角英字で記述する
※例:i,ii,iii,iv,v I,II,III,IV,V
- 使って良い文字種を正確に把握する
最後の「使って良い文字種」すなわち「これなら使って大丈夫な記号など」については下記を参照のこと。 |
●全角記述記号/特殊記号など
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●半角記号
!@#$%^&*()_+|-=\*/-+=.,{}[];:'"`~<>?
●ギリシャ文字
ΑΒΓΔΕΖΗΘΙΚΛΜΝΞΟΠΡΣΤΥΦΧΨΩ
αβγδεζηθικλμνξοπρστυφχψω
●ロシア文字
АБВГДЕЁЖЗЗИЙКЛМНОПРСТУФХЦЧШЩЪЫЬЭЮЯ
абвгдеёжёзийклмнопрстуфхцчшщъыьэюя |
反対に使ってはいけない記号だが、これはMacとWindowsでは表示が違っちゃうから例示するのが難しい。下記はMacの場合の使ってはいけない記号類をテキストエディターに表示させたもののGIF画像だが、筆者はWindowsを持っていないからWindowsの場合の表示を例示することは出来無いのである。とにかく、このページを見たMacユーザーは、下記の記号類をE-MailやHomePageで使ってはいけない。絶対に駄目である。Windowsの場合で言うと、下図にはないものがあるはずだが、あるものについては使ってはいけないと言うことになる。 |
世の中の殆どのWindowsの人は相手もWindowsなのが当たり前だから、この問題に気がつく可能性が極めて低いのである。しかし配慮・考慮しなければいけないのである。何故ならば、相手がMacの場合には意思が伝わらないんだから。それがちょっとした注意で防ぐことが出来るならそうべきなのである。勿論、Macユーザーも同様に配慮・考慮・注意・留意すべきであるのは言うまでもない。
なお、実際の文章の「上手い下手」については経験、情報量、書き慣れているかどうか、そして結局は「文才」が影響するので何とも言えない。しかし上に書いてある原則を守れば、余程の事がない限りは少なくとも読みやすいE-Mailにはなるはずである。
ついでに言えば、ほんの10年前ならFaxだって、ちゃんとした連絡をするには失礼だと場合によっては言われていた。それが今や業務命令でE-Mailに統合しろと言われかねない時代である。巻紙の書状に筆で草書体行書体と言う時代から封書に万年筆、それがワープロ+ドットインパクトプリンターになり、やがてレーザープリンターに進歩、あるいはFaxに簡略化かと思ったら既にE-Mail時代である。そう言う変化の中で文体も体裁も変わって行く。そもそも今や全ては横書きである。もちろん、もっと若い世代ならiモードで親指入力なわけだ(ちなみにiモードからJ-Phoneなどに特殊記号を送ると全部「〓」つまり通称「ゲタ」になるが、これも機種固有文字だからである)。
と言うことは「文書作法」の原則はますます簡潔明瞭互換性重視となるのは時代の必然である。よって、ここに書いたTips(コツ)を知らないと自分の意思が伝わらない可能性があると思った方が良いのである。 |
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