2003.06.19[木]
■ 番外編
Hammered Dulcimer
ハンマー・ダルシマー
ギターやピアノの遠い祖先??
左上に見えるのは専用のソフトケース
ギターという楽器の祖先を探ると意外なものにぶち当たる。響板(共鳴箱)に弦を張れば楽器になるが、それが様々に進化すれば現代の色々な楽器に行き当たる。
と言うような考察は全く後のことで、たまたま大学の同期音楽仲間がハンマー・ダルシマー(正しくはHammered Dulcimer)と言う聞いたこともない楽器を演奏するのを聴く機会があり、一緒に聴いたワイフがすっかりその音色に填り、ついにはそれを買うことになっちゃって、そして、その友人がアメリカから輸入してくれて、そしてそして、とうとう我が家に届いちゃったという話なのである。
ハンマー・ダルシマーとはなんぞやと言う話は一切省略するが、クラシック楽器的に言うとチェンバロの直接の祖先であるのは確かで、だから音も似ている。低音弦はピアノにも通じる音色だが、チェンバロの欠点=音が小さすぎる=を改良したのがピアノ(ピアノの元々の名称は「ピアノ・フォルテ」つまりは小さい音から大きい音まで出せるという意味)だから共通項があるのは当たり前かも知れない。
演奏は名前のごとくハンマーで叩く打弦楽器である。但しハンマーと言ってもスープ用のスプーンぐらいの長さの木で出来た小さなものであり、人差し指と中指で摘んで操作する。弦の並び方は構造上独特で実際にハンマーで叩いて音を出さない限りは理解出来ない。つまりギターやピアノのようには演奏上合理的ではない。逆に言えば、合理的にしたのが現代に生き残っている一般的な楽器で、非合理的ゆえの奏法が生まれ、また独特の音色を持っているから一部に熱狂的なマニアが居るために未だにハンマー・ダルシマーの様な楽器が愛され続けているのだろう。
但し主流はアメリカで、日本ではまるっきり一般的ではないらしい。
と言うわけで筆者自身はハンマー・ダルシマーには触らないし、この楽器で良く演奏されるアイルランド民謡やバロック音楽にも興味は全くないのでこれ以上は書くことがない。
後はワイフの上達を待つのみである。
なお、我が家にやってきたのは「songbird」と言うブランドのもので、高級品ではないがフルスケールのものらしい。最廉価品だと音域が足りないのですぐに買い換える羽目になるらしいので、ちょっと良いのにしたのだ。それと、輸入してくれた友人の話では「非常に当たりの品」なんだそうである。
筆者にはさっぱり判らないスケール……
ところで楽器の受け渡しを兼ねて、何故かワイフと一緒にハンマー・ダルシマーのソロ演奏を聴きに行った。場所は成城学園の駅から徒歩12分の個人宅。しかし、この家は外観こそ大きめの二階屋だが中身はまるで教会のような作りのマニアックなもの。家主はピアノの先生だそうで、古式ピアノ(妙に長大な構造)からアップライトまで含めて9台のピアノがあるし、前述の教会のようなホールは天井が二階の高さまでぶち抜きだから響きも抜群なのである。
ソロ演奏したのはデイブ・ニーマンと言う親日家のアメリカ人でボストン在住。とてもアメリカ人とは思えないナイーブな雰囲気のおじさんなのだが、流石に演奏は素晴らしかった。ハンマー・ダルシマーに全く関係のない筆者でも充分に浸り切れたんだからたいしたもんである。そもそもハンマー・ダルシマーは、音は小さく、一度に発音出来るのは2音だけ(和音を弾くには分散和音しかない)と言う制約だらけの楽器なのに、それで1時間半のコンサートの間、しっかりと聴衆を引き付けられるんだから流石、プロ。
コンサートを見に行ったのはこの人
http://www.asahi-net.or.jp/~kr6t-ngs/xmusic/nieman.html
追記:ところでハンマー・ダルシマーの演奏に用いるハンマーには色々な種類がある。ハンマーによって音色が大幅に変わる。前述のデイブ・ニーマン氏も曲想によってこまめにハンマーを取り替えながら演奏していた。しかし日本では手に入らない。
もう一つ。ワイフは筆者と違って譜面が読めるので譜面台が欲しいという。そこでアメリカの楽器系Webでそれら一式を注文したら1週間ほどでちゃんと届いた。
合板で出来た近くで見ると非常に安っぽい作りの譜面台とハンマー各種。右下は最初に付属してきたもの。
付属品を注文したのはこちらのWeb
Elderly Instruments
http://www.elderly.com/