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2001.06.03[日]更新
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日々雑感 - DoromPATIO
■ 蒐集癖のない筆者
世の中にはギターコレクターと呼ばれる人達が居る。専門誌などに紹介される機会も多いが、呆れるほどの本数のギターを所有している。有名プロアーティストにも、その種のマニアは多いようである。
筆者も友人・知人で少なくとも身近に二人ばかし、その手の人間を知っているが、一言で言えば「ああ筆者とは趣味が違うなぁ」と言うのが感想である。このHomePageのあちゃこちゃを見ると筆者に蒐集癖があるように誤解する可能性があるが、筆者には蒐集癖は殆どないと言って良い。オーディオやMacやクルマの台数が多いのは全て買い換えが多い結果であって、その時点で常用するのは常時、一カ所で一台なのである。
その理由は単純で、一度に使えるのは一台であり、慣れ親しめるのも同時には一台だからである。

ギターに関しても30数年ずっとLes Paulが1本だけだった。
だから、例えばバッキングで軽めのシャキシャキしたサウンドが欲しいという場合、複数のギターを持つことが当たり前のギタリストなら直ちにストラト(と言うかFender系)に持ち替えるのであろうが、筆者の場合は全く違って、その発想は直ちに「軽めのコンプレッサー、コーラス、そしてイコライザーでハイを上げてローを下げたセッティングに切り替える」となるのである。何故なら使う楽器はLes Paul以外ないんだから。
であるから、最近流行のオールドギターショップには全く興味がない。自分から別のギターを欲しがるということが無いからである。それと、店頭にあるのが例えば幾ら1959年製のミント・コンディションのLes Paulであろうと、それは所詮は中古であり、誰の手に触れたのか分からない、あるいはどんな修理をされたかも正確なところは分からない代物であるのだから、見た目が良くて、そして実際に音が良いとしても、まるで魅力を感じないのである。筆者からすれば中古は所詮中古なのである。これに対して、筆者の知人友人のギターコレクターを見ていると、彼等は基本的に購入したコレクションをいじらない。それぞれの楽器の個性を尊重しているのではなく、単にものぐさなのでなんの調整もしないのだ。結果、彼等はそれぞれの楽器の状態に自分をその都度、合わせているように感じる。
この行為を筆者から見ると、単純に「弾きにくくないの?」と思ってしまうわけだが、人それぞれであるわけだから、お互い「我関せず」がベストな態度なのであろう。なおもちろん、過去にLes Paulを入手後、それ以外のギターを欲しくなったことはあることにはある。それはシェクターの真っ黒なテリーとか、SGとかストラトであるし、335は実際に買ったわけだが、しかしギター談義に書いたように結局はLes Paulしか使わなかったのである。

Macに関しても、現在常用するのは8500と7220と言う見た目も含めて本来はまるっきり違うスペックのマシンだが、増設したG3カードのスペック=事実上のMacのハードウエアとしての性能、Mac OSのバージョン、入っているApplication、細かな設定、画面サイズや解像度、ディレクトリ構成などなど全て全く完璧に同じである。つまり全く同じMacが2台、必要性から別々の場所に設置してあると言うことである。
もしも、スペックや設定や環境が少しでも違えば、筆者としては性能の低い方=不便な方を使う気になれない。
だから、新しいMacを購入した場合は、たちどころにそれまで使っていたMacには全く用が無くなるので、右から左に友人知人に譲るか、@niftyの掲示板で処分してしまう。古いMacをコレクションする趣味は全くない。コンピュータは使ってなんぼであるから並べて置いても意味はないからである。世の中には古いMacを通信専用に残すなどと言う使い方もあるらしいが、一人の人間が一度に使えるMacは一台しかないのだから、なんでそういうことをするのか全く理解できない。ファイル・サーバーとして運用するとか言うなら判るのだが(実際、事務所があった頃は複数の人間のファイル共有用にサーバーを24時間運転していた)。ついでに言えば、他人のMacは全く操作できない。と言うか、もちろん操作は出来るに決まっているが、各種の設定などがまるで違って使い勝手が悪いわけだから、長時間の使用なんて耐えられない。であるから、あてがいぶちのMacを使う環境は容認できないから、もしそう言う場合は万難を排して自分のMacを持ち込むことになる。
要するに我が侭なだけであるが。
なお、言うまでもないことだが、だからWindowsマシンを一緒に使うなんて事は絶対にあり得ない。MacとWindowsは似て非なるものであるから、両方を同時に使うなんて器用なことは筆者には出来ないのである。
と言う話は「蒐集癖云々」とは違う話題だが。

オーディオの場合はMacのように環境を揃えるなんて事は最初から出来ない。何故ならピュア・オーディオの場合、サウンドは部屋を含めたものになるからである。あちゃこちゃに完全防音のリスニング・ルームを用意できるわけがない。だから現在、実家に置いてあるオーディオ装置以外にはオーディオ装置はない。現在の居所ではオーディオは聴かない。それで別に構わない。
蛇足的に言えば、ウォークマンが流行りだした頃から、音楽を日常的に楽しむと言うことが無くなった。これは逆説だが、要するに筆者にはウォークマンが理解できないのである。あそこまでしていつでも音楽を聴くという発想がない。それに38cmウーファーに慣れた耳と身体には、イヤフォンタイプのウォークマン・サウンドは薄っぺらでちゃらちゃらしたものにしか聴こえない。クルマの場合も買い換え遍歴は目茶苦茶だが、いつもその時に乗っているクルマが自分にとってベストである。クルマは走らせてなんぼであるから、つまり完璧に操れないと意味がない。筆者は手先は器用なのだが、道具=例えばクルマ=を取り替えた場合は慣れるのに時間が掛かる方である。であるから、友人知人が物凄い性能のクルマに乗っているとしても、それを試乗してもちっとも嬉しくない。何故なら自分の手足のように操れないからである。直線のどっかぁ〜〜んと言うスピードが幾ら速くても、それはそれだけのことだからである。クルマというものは(道具というものは全て)自分の手足のように操れて始めて機械との対話が楽しめるのであり、それが出来ないのであれば、たとえフェラーリの試乗チャンスがあっても、大して面白くないのである(一年間試乗できるなら別だが)。話をオーディオに戻すと、そう言うわけだから、ある時点でスピーカはJBLと決めたら、他のメーカーのスピーカーには全く興味はない。元々クラシックは全く聴かないからJBLオンリーで問題はないと言うのもあることにはあるけれども、色々なサウンドを楽しむという発想はない。一時的にカートリッジを変えてみるとか、やることはやったけれども、それに填ることはなかった。別の言い方をすれば、こっちが聴きたいのは音楽なんだし、長年の間に自分の好みのサウンドは確立されているわけだから、余計なバリエーションは必要ないのである。
オーディオ雑誌などにはJBLとタンノイなど、特徴の違う複数のスピーカーやアンプを切り替えて聴くことが出来るマニアの部屋が掲載されていたりするが、曲や気分によって装置を変えるという発想は筆者にはないと言うことだ。つまりこの意味でも、筆者はコレクターではない。

と言うわけで、腕時計は10数年前に貰ったセイコー・アルバの安物しか使わない。時計は正確で見やすければいいわけで、ファッションやシチュエーションに合わせて取り替えるなんてことは考えたこともない。過去に腕時計を貰ったことが二度ほどあるが、いずれもアルバより文字盤が見にくいなどの欠点があったので、遙かに高級品だったが人にあげてしまった。この調子だからSwatchやG-Shock!には全く縁がない。だからファッションにも興味がない。あれこそ蒐集あるいはとっかえひっかえの権化だからだ。うちの親は病的とも言って良いカメラコレクターであるが(ざっと200台を所有している)息子としては定期的に、その時点で一番使いやすいニコンの一眼レフを借りてくれば事が済む。もちろん、レンズはズームだけ。ちなみに今はNIKON F90と28-85mmの組合せ。カメラこそ手に馴染んで撮った結果が予測出来るものじゃないとろくな写真は得られないわけだから、これが一番合理的と信じている。但し最近はデジカメ(CASIO QV-3000EX)しか使わないが。仕事に出かけるときに持ち歩くアタッシェケースは去年、10数年間使っていたナイロン製のもののジッパーがとうとう馬鹿になったので買い換えたばかり。今度の新しい鞄も、壊れない限り10数年使うことは確か。筆者がアタッシェケースに必要な機能は決まっているので、それに当て嵌まるものがあれば、鞄を取り替える必要は全くないから年がら年中どこにでも旅行でも出張でも海外でも同じものしか持ち歩かない。靴を買うときは気に入ったものが見つかれば、それを最低2足買う。同じ色か、または黒と茶。交互に履けば持ちが違う。他の靴に浮気する必要もない。

では何でMacやオーディオやクルマは買い換えが多いのか?
これは論理的に明快。
Macはコンピュータである。コンピュータは秒進分歩で進化する半完成発展途上商品である。だから適当なタイミングで買い換えないと使い物にならないからである。現在の筆者のMacはまがりなりにもG3であり、とりあえずの使用目的に対しては大きな不満はない。だから今は買い換える必要がないのである。3〜4年前までのMacはそうじゃなかったから次々に買い換えただけの話である。
クルマやオーディオは今や完成してしまった商品であるが、筆者が頻繁に買い換えていた頃は新製品が出るたびに性能がどんどんと良くなっていた。だから買い換えは当時としては必然だったのである。だから今は筆者としては買い換えたり集めたりする必然性はないのである。特に国産車を考えた場合、性能的には行くところまで行ってしまっているし、信頼性は世界一なんだから新車が出ても買い換える必然性は全くない感じである。
そう言う意味で言えば、オールドがいいと言うのが定評になってしまったGibsonやFenderのエレクトリック・ギターの場合は理屈の上でも買い換える意味が全くないし、進歩が止まった工業製品であるわけだから、それをコレクションする必然性もこれ又、筆者としては全く皆無と言うことになる。
工業製品はすべからく新製品が出るとどんどん進歩進化発展すべきだと思う。そうじゃなくなったカテゴリーの商品には、筆者としては興味を失うか、またはある時点の製品で満足し、製品寿命が来ない限りは使い続けるのである。だから仮に3億円宝くじに当選したとしても、300万円のオールドLes Paulを買うことはあり得ない。それより完全防音のスタジオと録音機材一式の方が遙かに重要である。但し3億円あるならクルマやMacは買い換えますけどね。明らかに性能が上がるわけだから。
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