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2002.04.15[月]更新
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日々雑感 - DoromPATIO
■ ゆとり教育ってなぁに?
学校週5日制のゆとり教育とやらが始まった。その結果、円周率が「3」になったらしい。それを福田官房長官が揶揄するんだから不思議な国である。このことをして、三権分立だから健全だとはとてもじゃないが言えないだろう。要するに「円周率が3で良い」のがおかしいのだ。これを決めた文部科学省のお役人は何か大きな勘違いをしているに違いない。

最近の教科書からは昔ながらの小学唱歌はどんどんと削られ、まるでヒット曲オンパレードみたいな選曲が行われている。桑田が悪いとは言わないが、だったらサウンド・オブ・ミュージックからは全曲掲載しないと正しい音感なんか育つわけがない。一部の英語の教科書にはフリガナが振られるそうだが、音楽の方で桑田のわざと崩した英語的日本語を聴き、英語の方でフリガナ読みの英語を習ったら、これは間違いなく日本語も英語も絶対に正しくは発音出来なくなると思う。
「You've got a mail.」を平気で「ユー・ガット・メール」にしちゃう国だからどうでもいいのかも知れないが。

国語でビートたけしの小説が採用されて話題になり、たけし本人が困惑のコメントを出しているが、それはそうだろう。彼は本来アウトローであり、過去には刑事事件を起こしているのだし、例の交通事故は泥酔運転だし、監督作品の殆どはテーマが暴力である。公立学校の教科書に採用されるべきキャラクターではないことは明白なのだ。理想の父親像にも選ばれたりするビートたけしだが、そう言う風潮自体がおかしいのであって、ご本人の困惑は続きそうである。

話を戻して、円周率が3になることで判るように、「ゆとり教育」の結果、学力は確実に低下する。習うことが減り、習うことが簡略化されるのである。「3.14」より「3」の方が生徒に楽だと言う物凄い発想が全ての教科に対して影響した結果は想像に難くない。高校の教科書でも学年によって文中の「進化」と言う言葉が削られる。理由は習っていないからだそうだ。判らないことを調べるのが学習だと思うのだが、どうやら文部科学省はまるっきり違う思想らしい。
そこで親は焦って塾に通わせる。当たり前の危機管理である。逆に言えば、文部科学省が塾業界と結託しているのかと疑いたくなるような話だ。資源小国日本が明治維新以降ここまで、他のアジアの国のような植民地にもならず、世界第二位の経済大国になった最大の理由は文盲率が事実上零であることからも判る通りに平均的な教育レベルが高く、2000年間の稲作の歴史で培われた勤勉さが背景にあるからである。江戸時代の寺子屋は画期的なシステムだったし、「読み書き算盤」と言う基本は実に正しかったのだ。
しかし、今度のゆとり教育は(そのコンセプトは判らないでもないが)実施面において目茶苦茶であり、日本(人)の美点(特長)を自ら消失しかねない。

ではなんでこんな馬鹿なことになったのか?
もっともあり得そうな理由は教育現場の実態と文部官僚の位相のずれだろう。位相は時間軸と置き換えても良い。現場はどんどん変わっているが、官僚連中は諮問・会議・諮問・会議の繰返しで対応がずれるのだ。
もう一つは教師のサラリーマン化だろう。今や教師は聖職ではない。日教組はイデオロギーを捨てて雇用確保に走り始めている。生徒数は激減しているのだから理想論など言ってられないのだ。教える方に理念がなければ、教育内容は単純で簡単な方が良いに決まっている。そんなことより学級崩壊の方が遙かに怖いだろう。どっちにしろ、公立学校の場合、進学率は教師の査定には直接影響しない筈である。

以上の結果、まともな親は子供を自己防衛のために有名筆者立校に入れるべく頑張る。あるいは相変わらず東大を目指す。頑張る子は頑張るし頑張らない子は頑張らない。無関心な親は何もしない。その結果「クイズ赤っ恥青っ恥」が笑い事ではなくなるわけだ。
筆者は中学から某私大だから基本的なレベルが高い環境で育った。だから、例えば周りで新聞(つまり漢字)が読めない人間は存在しない。しかし例えば大学の時に免停【苦笑】になって鮫洲の講習を受けに行くと驚くべき状況に遭遇する。免停の講習では受講態度の悪い講習者(99%は居眠りを意味する)が「交通の教則」なんてつまらないテキストを読まされる。ところが、これが全く読めないのだ。殆どの漢字の部分で突っかかるのである。別に難しい漢字ではない。「信号機のある交差点に向かって云々」みたいな文章なんだから。俳優のショーケンが全く漢字が読めず、台本には全て読み仮名が振ってあるのは有名な話だが、本質的にそれと変わらない。免停の講習は間違いなく18歳以上が受けているわけだが、そこで居眠りをするようなヤンキ〜なあんちゃんやね〜ちゃん達はまず殆ど、まともには漢字が読めないのである。これは既に30年ぐらい前の話だから、今はもっと酷いことは確実である。

そう言えば、どこの大学でも、今、最大の悩みは大学に入った時点で英語がまるで分からないとか、もっと極端な場合は九九が出来ないとか、そう言う考えられない次元から授業を始めなければいけないことだそうである。これは企業も同じで、入社後の研修で「拝啓」を教えたりするのが大変なのだそうである。
確かに、今どきの会社に電話すると「ただ今、部長は外出なさっております」なんて言い方は当たり前になっている。昔は代表番号で交換手が居たから専門教育で何とかなったが、今はダイアルインだから、もうどうにもならないのだ。

と言うことは、日本は今までのように「平均的な教育レベルが高い」から成長したと言う話は過去のものになる。だからと言って「ゆとり教育」は突出した才能の持ち主を活かすように出来ているわけでもない。飛び級があるわけでもない。元々日本はアメリカのように5%のエリートが95%の大衆をリードする国ではないが、「ゆとり教育」を行えば「平均レベルの下がった殆どの大衆」と「自己防衛のために余計な教育投資をした結果、ゆとり教育以前の学力を保持した一部のエリート」と言うわけのわからない構図になりかねない。

かつての受験戦争最盛期がいいわけではない。また、あの頃は日本全体に一種の超自我的上昇志向があった。追い付き追い越せ的なモチベーションが無意識的に蔓延していたし、実際、日本は貧しくインフラも貧弱だったのだ。しかし、今は違う。昔なら、恥ずかしそうに、ぼそぼそと「バイトやってます」だったのに、今や堂々と「フリーターです」と言える時代になってしまったのだ。昔ならフリーターは「無職」「穀潰し」「遊び人」と同義語なのにである。
しかし別稿で書いたように、昨今の日本では必死になって働いても、いつリストラされるか判らないし、新しい会社のトップになった途端に度重なるシステムトラブルで頭を下げっぱなしのみずほの社長になりたい奴は居ないだろう。つまり、いい会社に入って出世してと言うテーゼはもう完全に崩れているのだ。

では教育指導要綱は本来、どうすればいいのか?
これはある意味では簡単。文部科学省の権限を大幅に減らして、当用漢字(最近は常用漢字??)に見るような(物凄く根拠レスな字数減らしみたいな)規制を大幅に緩和して、民意に添った形での教育百年の計を今からでも遅くないから構築し直すのである。当然、アホな役人はリストラして、民間の委員に権限を与えればよい。公立学校にも競争原理を導入すればよい。話題の渦中の酒田短期大学みたいな目茶苦茶なところはさっさとぶっ潰せばよい。
そんなことは誰でも判る。
でも出来ない。
何故出来ないか?
それは既得権益に胡座をかいている馬鹿どもが多すぎるからである。小泉改革が掛け声だけでさっぱり進まないのと全く同じ事である。
人間は絶対に自分の立場でしかものを考えることは出来ない。余程経済的に余裕があるか、または宗教家と言えるほどの善人でない限り、既得権益を手放すわけがない。我々はカーネギーでもロスチャイルドでもお釈迦様でもキリストでもないのである。
しかし、まともな知恵と見識と実情把握の努力があればもっとましな方法は幾らでも考えつくだろう。今回のゆとり教育(並びに最近の検定教科書の内容レベルと各種選定基準)の実態はあまりも浅薄であり、文部科学省馬鹿丸出しだと思う。ついでに言えば、教科書を作る会社も大きな考え違いをしているとしか思えない。
それが実際にこの4月から始まっちゃっていることに呆れるしかないのである。

追記:月曜日の「笑っていいとも」を見ていたら「シベリアを知っていますか?」と言う質問に会場の100人中「知っている」と解答したのはたったの29人。しかも質問者(女性タレント。年末年始にドキュメンタリー番組で3週間のシベリア取材をした)も元々は知らなかったとのこと。タモリも呆れていたが、それが現実だろう。これじゃ鈴木宗男も浮かばれない【笑】。彼女たちがシベリアを知らなくても日々の生活で困ることは何もないが、反対にパリの路地裏のブティックなら流通系商社の現地社員より詳しかったりするんだろう。でも、世界地図でフランスを指差すことは出来ないかも知れない。何をか言わんや………。
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