|
|
|
|
|
某スタジオにて
我が三種の神器=Les Paul+MUSICMAN 112RP+SansAmp TRI-A.C.
|
せっかく買ったのに全然音を出していなかったSansAmp TRI-A.C.君だが、やっと新年1月18日金曜日にスタジオで実力を垣間見ることが出来た。丸々2時間、Les PaulとMUSICMAN 112RPとSansAmp TRI-A.C.とDigiTech RP2000を繋いであれやこれやと試奏しまくったのである。 |
結論から言うと、SansAmp TRI-A.C.は買ったそのままのセッティングで、いっきなりライブ・ステージで使えちゃうぐらいに出来がよいアンプ・シミュレータである。但し、幾つか条件がある。
SansAmp TRI-A.C.をエフェクター代わりのプリアンプとして使う場合、良い音で鳴らすには「力強いクリーンサウンドが出せるハイパワーなギターアンプ」が必要なのである。そしてもちろん、ちゃんとした音のするギターも必要である。 |
そもそもSansAmp TRI-A.C.は買う時に石橋楽器のエフェクターコーナー常設のマーシャルに繋いで一度、鳴らしているのだが、その時の音は、はっきり言ってがっかりするほど酷かったのである。どう酷かったかと言えば、ただ単に歪むだけで、ノイズっぽくて、まるで安物のディストーションって感じだったのだ。
しかし筆者の勘ではそんな筈は絶対にないと信じていたので、試奏結果は無視して購入決定したのである。
その後、自宅で無理矢理ヘッドフォンを直結したら、これまた酷い音だったけど、SansAmp TRI-A.C.はDigiTech RP2000などと違って、ヘッドフォンには対応していないんだから、これは当たり前。 |
そして今度はスタジオで愛機MUSICMAN 112RPに繋ぐわけだ。この場合、普通にギター・インプットに繋ぐか、あるいはエフェクト・リターンに繋ぐかという選択肢があるのだが、まずは慣れているギター・インプットにすることに決めて、先にSansAmp TRI-A.C.なしでLes Paulを直結し
- ゲイン=5
- トレブル&ミドル=10、ベース=2
- マスター=5
として音出し。Les PaulのピックアップはDiMarzioスーパーディストーションだから、これでもLes Paul側がフルテンだと、かなり歪むのだが、まぁしかし、いわゆるノーマル・トーンであることも確か。
そして、そのままのセッティングで今度はLes PaulとMUSICMANの間にSansAmp TRI-A.C.を咬ます。 |
SansAmp TRI-A.C.は購入状態のままだから、接続した時点では左側のインジケータが点灯しており、サウンド・セッティングは「TWEED」である。これは65年頃のFender Twin Reverve(シルバー・パネル)をシミュレートしたもの。音的には我がMUSICMAN 112RPでBRIGHTスイッチをオンにした状態に近い。カントリーからブルースまで広く使えるオールマイティなサウンドに定評がある。
音出し。
思わず「をぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」と声を出してしまったぐらい、効能書き通りに上記そのまんまのサウンドが出た。笑ってしまう私。ハイが目一杯出ているので、Les Paulのボリュームを絞っても、まるでテレキャスターのように音がはっきりしたまま音量だけが下がる。これは使えます。
そこで次に真ん中のフットスイッチを押す。そうするとSansAmp TRI-A.C.は「BRITISH」となり、名前の通り、マスターボリュームのない頃の初期型マーシャル・サウンドとなる。
音出し。
これまた笑ってしまうほど完璧としか言いようのないサウンド。試しにLED ZEPPELINのリフを幾つか弾いてみたらまるっきりまんまであった。
最後は右側のフットスイッチ。これで「CALIFORNIA」となり、つまりはメサ/ブギーに変身するわけだ。
となれば当然「哀愁のヨーロッパ」の出だしの2小節を弾いて、そこでそのまま左手人差し指で2弦を押さえたままにして、サンタナのように一切、フィンガー・ビブラートをさせずに音がどう減衰するかを試す………が………そのまんま鳴りっぱなし(^^)v
そんなに馬鹿でかい音量ではないのに、ナチュラル・ディストーション&何処までも続くサステイン状態に鳴っちゃうのであるのであるのである(^^)v
こりゃ凄い♪ |
次はMUSICMAN 112RPとの接続方法。ここまではギター・インプットだったが、次にエフェクト・ループに突っ込んでみる。
MUSICMAN 112RPはエフェクト・ループ端子の設計がちょっと変わっている。ハイゲイン用とローゲイン用がそれぞれ一個ずつあって、端子はステレオ・プラグ用になっている。そのまま差し込むとインプットとなるのだが、ループさせるためにはステレオのY字プラグが必要なのだが、SansAmp TRI-A.C.を繋ぐ場合はハイゲイン端子にそのまま差し込むだけでよい。
この場合、MUSICMAN 112RPのコントロールはゲインとマスターだけが機能し、トーンなどは関係なくなる。
色々試した結果、ゲインを7ちょっととし、マスターで全体のボリュームを調整すればよいと言うことが判った。
さっきの状態とどちらが良いのかは微妙なところだが、SansAmp TRI-A.C.のマニュアルにはエフェクト・リターンに繋げと書いてあるから、以降はこのセッティングで実験。
いずれにせよ、MUSICMAN 112RPの非常に優秀な「真空管+巨大パワートランスによるパワーアンプ」との相性は抜群で、全体として3チャンネルのアンプになるのだから便利この上ない。要するに一挙に手持ちのアンプが3台になるのと同じなのである。 |
次はDigiTech RP2000との組合せ使用。
実際問題としてはSansAmp TRI-A.C.だけで事は足りる。今、筆者が参加するバンドは基本的に70年代ロックのジャムセッションが中心だから、「Fender TWEED」と「Marshall」と「Mesa/Boogie」が切り換えられれば他には何も要らないのである。
しかしDigiTech RP2000があるんだからもったいない。と言う、ただそれだけの理由で組み合わせた場合のセッティングにもトライしてみた。
この場合、DigiTech RP2000は空間系しか使わない。なので、まずはDigiTech RP2000を使いながら、そしてプリセットのどれかを選んでいながら、しかしサウンド的には全く透明と言うか、要するに「BYPASS」と同じ状態のセッティングが必要となる。つまりLes Paul → SansAmp TRI-A.C. → DigiTech RP2000 → MUSICMAN 112RPと繋いだ時に、DigiTech RP2000が邪魔をしてくれては困ると言うこと。もちろん「通常はDigiTech RP2000はBYPASSにしておく」でも取り敢えずは良いのだが、DigiTech RP2000のエフェクターを使う場合にはどうせ色づけのないセッティングが必要になるから同じ事なのだ。こう言う場合、DigiTech RP2000のアンプシミュレータ・セクションには「DIRECT」と言うのがある。つまりアンプシミュレートしないと言うこと。 |
さて、このセッティングを「THURU」と名付けてフットコントローラ(フットスイッチ)の1番に割り当てる。これでSansAmp TRI-A.C.だけの場合はDigiTech RP2000は1をDefaultとすればよいわけだ。
そして、このセッティングを2にコピーし、それをベースにコーラスを掛ける。ついでにちょっとだけデジタル・リバーブも掛ける。DigiTech RP2000を通せば、必要なら出力をステレオ・コーラスにすることも出来る。
次に1を3にコピーしてからデジタル・ディレイとデジタル・リバーブを効かせたセッティングをする。遊びとしてフットペダルにはディレイのタイムを割り当てる。
最後に3を4にコピーしてからディレイのフィードバック量などを多めにしたセッティングを作る。
以上で完成。こうすると必要な時にSansAmp TRI-A.C.のサウンドにコーラスやディレイが掛けられるわけだ。 |
しかしである。一応やっては見たのだが、実際にそう言うセッティングを使う必要は70年代ロック系ジャムセッションでは全く必要がない。そもそも、50s Blues Bandと言われる某私大同期お遊びバンドはギターが最低でも4人も居るのである。ギターが4台あるのに、コーラス・エフェクトもディレイも絶対に要らないのだ。ブルース系のアドリブ合戦の場合に必要なのは「埋もれず抜け出るギター・サウンド」だけである。空間系のエフェクターを掛けると120%音が引っ込むから使えないし、使っても意味がないのである。
「天国の階段」を演る場合だってギターが4台あるんだからSGダブルネックすら要らないのである。 |
と言うわけで最終結論。今後、バンドで、でっかい音でギョワンギョワングィ〜ンと遊ぶ場合には『Les Paul+SansAmp TRI-A.C.+MUSICMAN 112RPの黄金トリオ』があれば完璧と言うこと。
そしてDigiTech RP2000はどっちかと言うとオーディオ的な使い方として、自宅でPowerBook G4やiPod並びにヘッドフォンを組み合わせて、練習などに使えば良いと言うことなのである。
ちゃんちゃん♪ |
それにしてもスタジオで2時間、色々と鳴らしていたのだが、最後までプリセットを変更する必要を感じなかったってのには呆れた。SansAmp TRI-A.C.は「あの」トム・シュルツが開発に咬んでいるらしく、であるなら非常に頷ける話ではある。オール・アナログ回路によるアンプ・シミュレーションというのも、いかにもトム・シュルツらしいではないか。
なおSansAmp TRI-A.C.は物凄くノイズレベルが低いのにも感心したと言う点を最後に付け加えておこう。 |
追記:その後、種々の変遷を経て、石橋楽器に下取り販売。 |
|
|
|