2006.08.10[木]

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何かと話題の亀田選手の試合は酷かった。判定結果が出る前に観客の大半が亀田の負けを確信して自主的に帰り始めていたのに、亀田勝利の判定が出て会場全体が「えぇ？」となったと言うのが真実の全てを語っている。その後の経緯は報道の通りだが、正直者に馬鹿が付く（これは良い意味である）ガッツ石松が明確に亀田の負けを発言しているのに対して、他の専門家の歯切れが異常に悪いのが事態の裏の部分を物語っている。 筆者の推測では、このように表と裏がある原因は単純なことで、要するにテレビ局（TBS）と大手広告代理店（と書いた場合は大抵は電通だが確かなことは分からない）とプロモーター（と言うか、要するにジム）と亀田親子が予めストーリー＝亀田三兄弟の世界制覇物語＝を描いており、全ては（彼らにとっての）ストーリー通りに進まなければいけないから色々と無理が生じるという構図である。 相手のペルー人の選手が負けても大して文句を言わないのは高額のファイトマネーが渡されているからに違いない。ガッツ石松以外の元チャンピオン連中の歯切れが悪いのはメディアを牛耳る権力構造に表だって逆らうことは得策ではないと判断しているからに違いない。 それにしても、そう言う構造的な問題以前に、暴走族やヤンキーと区別できない亀田選手の横暴または下品または反社会的としか言いようのない発言や行動を「一種のヒーロー伝説」あるいは「現代的親子鷹物語」のように報道するのは理解できない我慢できない許せない堪えられない。つまり不愉快である。 同じような意味で、欽ちゃん球団事件＝極楽とんぼ山本淫行事件の流れも不明瞭極まりない。淫行事件発覚 → 球団解散宣言 → 解散宣言撤回宣言と言うドタバタは、これが普通の社会人野球チームならどうだったのだろう？と考えると馬鹿らしいの一言で片付けられてしまうほど程度が低い話である。 さらに事件後暫く経ってから和田アキ子が山本は反省していると語るに至っては何をか況やである。漫才ブームでお笑いタレントは供給過剰状態なのだから明らかに病的なロリコンのタレントは抹殺されてしかるべし（本人以外誰も困らない）なのに反省したら復活させたいとでも思っているのか？ また、欽ちゃん球団とやらが解散になると日本の野球文化（？）に多大なマイナス影響があるから解散しないでくれと言うロジックも滅茶苦茶。もしそうだとすると、この国の野球文化の土台は余程脆弱であるに違いない。いや、それを証明する事件なのだろう。つまりはその程度なのだろう。 過去9年間に殺人を含む監禁暴行を繰り返した放蕩息子が逮捕された事件は秋田の畠山容疑者の事件に続いて警察の失態の露呈＝民事不介入の原則とやらの悪影響＝として長く記憶にとどまるであろうが、それにしても事件内容も、警察の対応も、どっちも酷すぎる。 この事件についてまず言えるのは（実は市民プールでの事故も全く同じ原因なのだが）担当者（監禁暴行殺人事件では警察、プール事故で言えば監督官庁と管理業者）に「これこれこういう場合にこうなったらこうなる可能性がある」と言うことを推測する想像力が全く無いと言うことである。幼児虐待（の場合の民生委員）やドメスティック・バイオレンス（＝家庭内暴力の場合の警察など）も同じ。生活困窮者の餓死などの事例も同じである。 たとえばの話。プール事故において、小学生が外れた柵を監視員に渡したら監視員はそれがなんだか全く分からなかったという。連絡を受けた下請け会社の担当者は、それがなんだか分かったにもかかわらず、吸水口の前にアルバイトを立たせることをせず、針金を取りに行ったという。この二人、最近流行の脳力テストの点数は滅茶苦茶低いことは確かである。いわゆる連想力が全くないのだから。 監禁暴行事件についても、助けを呼ぶ携帯メールに絵文字が使われていたから緊急性はないと判断したと言うことが既に明らかになっているが、そんなことは後で付けた理由であって、最初から「これは緊急性がある」と思わなかった勘の悪い警官だか刑事だかが担当したというだけの話なのだ。 実例を示そう。10年ほど前にうちの子供が実際にクルマに引きずり込まれそうになると言う事件が起きた。幸いにしてワイフが機転を利かせて事なきを得たが、そのことを交番に通報したときに交番勤務の二名の警察官はなんと発言したか。にやにや笑いながら「おたく、誘拐されるほどのお金持ちなのぉ？」とほざいたのである。こうなると「捜査には想像力や連想力が必要である」なんてレベルとは乖離する。 この馬鹿警官が警察官の平均値だとは言わないが、相当に程度の低い警官が多いことは確かである。そのことは飲酒運転や盗撮事件などの犯人が警部補だったなんてことが頻発していることでも明らかである。一度でも交通違反で捕まって、パトカーの後ろで調書を取られたことのある人間なら、彼ら警察官の日本語能力の低さに呆れた経験があるであろう。違反の経緯を記述する自分で書いたら数分で終わる簡単な文章を、彼らは30分以上掛けて信じられない駄文で作成するのである。その日本語能力の低さは最近のバラエティー系クイズ番組のお笑いタレントやグラビアアイドルと変わらない。 つまり、捜査する側（警察）、対処する側（行政）に想像力も基礎的学力あるいは一般常識すらも無ければ、話は通じない、意味や気持ちは伝わらない、状況判断は出来ない、その状態・事態・状況がどう発展する可能性があるかなど分かるわけがないのだから、問題の解決など出来るわけがないのだ。 しかし、そう言った話のさらに上を行くような正に信じがたい事件が更に発覚。それは岐阜県庁の裏金事件。4億50000万円だかの裏金を貯め込んだのも凄いが、発覚を恐れて少なくとも8500万円を処分したとは何だ一体？　しかも、500万円は捨てた？焼却した？　更にさらにその裏金を原資に貸し付け行為？　前の知事も借りていた？　しかも一部は既に返済時効を過ぎている？ デタラメな行為もここまで来ると開いた口が塞がらないなんて概念を通り越してしまう。この事件に関する各局報道番組でも、海千山千のコメンテータが絶句したりで、まともな言葉を発せ無い。普通の人間の当たり前の倫理観を通り越しているからである。そりゃそうだろう。税金＝他人の金＝から勝手に抜き取ってプールした裏金がばれそうになったから燃やす？　あり得ない。 そして勿論。この裏金事件は岐阜県だけで行われていることではない。それは絶対にあり得ない。損保ジャパンで不払いがあれば三井住友海上でも不払いがあったのである。三菱自動車にリコール隠しがあれば、なな何とトヨタにだってあったのだ。それにしても金額が半端じゃない。何が歳入欠陥なんだ。 話を監禁暴行殺人事件に戻すと、この放蕩息子は通常の倫理観や常識は全く持ち合わせておらず、悪いことをしているという自覚もないに違いない。困ったことに様々な環境要因などから、そのように育ってしまったのだろう。 しかし、今時の社会では程度の差こそあれ、それに近い人間が増えていることだけは間違いない。核家族化、少子化、体罰の禁止、学校での刃物の使用の禁止、取っ組み合いの喧嘩の減少などが進み、それと同時にゲーム世代と言う新人類が台頭するとどうなるか？ 殴られると痛い。手を切ると痛い。刺すと死ぬ。死ぬと大変なことになる………なんて当たり前のことが本質的に、あるいは実感的に体感的に理解できない連中が生まれてくる可能性があるわけだ。犬や猫にも「甘噛み」があるのに、手加減を知らないのである。結果を想像できないのである。幼児虐待も本質的には同じようなことだろう。 別の観点から言えば、最近はSMなんて、本来、超マニアックな世界の用語や概念が平気でバラエティ番組のネタにまでなっちゃているわけだ。インリン・オブ・ジョイトイとＭ字開脚なんてのがその典型。杉本綾をいじるネタでは「プレイ」なんて言葉が頻発する。ゴールデンタイムに小学生以下には説明しようのない言葉がバンバン出ているわけだ。 まぁ、それ自体はいいとして（ちっとも良かぁ〜ないが）SMなんてものは本来は完全なる合意に基づくコミュニケーションの一様式であって、つまりはSEXと同じである。恋人同士がいちゃついているのは正常。彼氏が彼女のお尻に触るのは全く正常。しかし赤の他人が触ったら明確に痴漢行為。恋人同士や夫婦がベッドの上で合意を前提に何をしても、それを異常性愛とは言わない。どんなに異常なことを頭の中で思い描いても、これまた我が国では全く問題にならない（宗教的制約がない）。しかし、それを合意に基づかない相手に対して実行に移したら明確に犯罪。以上は当然の常識。 ところが、この常識が完全に欠けちゃっている連中が増えているのが問題なのだ。痴漢や強制的なSM行為（要するに暴力的性犯罪）を行う連中は、相手がどう思うかとか、社会的規範とか、倫理観とか、常識とか通念とか、そう言う概念が完全に欠けちゃっているわけだ。 そして、それに加えて各種のデジタル機器の驚異的な進歩が彼ら非常識人を助長する。カメラ付き携帯は一昔前のスパイ用超小型カメラを遙かに凌駕する性能と機能と携帯性を持つから盗撮マニアの欲望を助長してしまう。表現の自由という金科玉条的概念は暴行（レイプ）をゲーム化したリアルなアダルトゲームの蔓延を助長する。レイプじゃなくたって、単純素朴な暴力行為は全ての格闘技ゲームや戦闘系RPGによって（バーチャルな世界では）やりたい放題である。 言うまでもなく、ハリウッド映画だって暴力行為・殺人行為のオンパレードである。描写はCGや特殊メークの進歩で、どんどんリアルになる。全ての映画が勧善懲悪ならまだしも、シニカルな内容も多いので善悪の判断なんて子供に出来るもんじゃない。レート指定だって完全に守られるもんじゃない。その上、インターネットがあるんだから本質的に規制は不可能。 と言うことはつまり、いわゆる一つの終末的文明論と同じように帰結していくと言うこと。つまりつまり、成熟爛熟した文明はやがて道徳崩壊を来して行くわけだ。個人の暴力が法人の場合は企業行為としての不正であるとすれば、それがパロマの欠陥騒ぎや大手保険会社の不払い事件や監査法人のインチキ監査やトヨタのリコール隠しやゼネコンの談合や岐阜県庁の裏金作りに該当するわけで、と言うことは官も民も個人も全てが「赤信号、みんなで渡れば怖くない(c)北野武」になっていくと。これこそ何をか況や。 今度は海外。イスラエルとヒズボラの小競り合いは今や戦争と言えるレベルに拡大。例によってイスラエル擁護のアメリカのお陰で強国による調停は不調のまま。国連はとっくの昔に機能していない。 強大なる兵力を持つイスラエルが手こずっている印象が強いが、新聞報道などによれば、ヒズボラが保有する各種最新兵器（供給元はイラン）が極めて有効らしい。最近は歩兵の手持ち対空ミサイルが最新鋭ジェット戦闘機の脅威になったりする時代だから、そう言うことは大いにあり得る。盾と矛の矛盾は永久に続くのだ。第二次大戦の時の独ソ戦で活躍したカチューシャ（多連装ロケット砲）が未だに大活躍でイスラエルの都市部を破壊しているのも軍事お宅的には実に興味深い。 それにしても中東問題はややこしい。2000年間、解決しないんだから平和な日本の一般人に実相が分かるわけがない。ただし、とてもはっきりしているのはイスラエル＝ユダヤ教＝だとすると、唯一神教の権化であるわけだから妥協という発想はあり得ないわけで、であれば、どっちかがどっちかを殲滅しない限りは恒久平和は来ないという恐ろしい話になりかねないのである。それでは2000年前と同じである（神聖ローマ帝国がイスラエル王国を滅ぼした結果、流浪の民が発生した。これが起きたのは西暦66年〜132年）。 出来れば明るい話題を拾いたいところだが、特に思い出せない今日この頃。困ったものである。