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■ 国産ストラトタイプのオーバーホール+α |
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オーバーホール完了後の写真♪
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バンド仲間の友人から国産ストラト・タイプのオーバーホールを頼まれた。大昔のTOKAI製らしい。この友人、普段はテレキャスター(本物)なのだが、重いから知人に貸していたTOKAI製ストラトを回収して、今後はストラトタイプをメインにしたいのである。確かに重量はテレキャスよりも遙かに軽い。ネックやフレットの状態はまぁまぁ良好。電気系統や金属部品は経年変化の塊という感じ【爆】。かくして我が家に持ち帰り、数日後、オーバーホール作業に取り掛かった。 |
まずはボリューム・ポットとトーン・ポットのノブを外してびっくり。上の写真の通り、錆とゴミと汚れ(と、多分、カビ)のオンパレード。他も推して知るべし。なので、とにかく、まずは全ての部品を外してしまうこととする。オーバーホールなんだから、やるっきゃない。 |
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ピックガードの裏側の状態。ピックアップの裏の灰色のプレートの書込みは分解した後で分からなくならないように筆者が記したもの
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電気回路部のアップ。酷い状態だが全て取り替えてしまうから構わない
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部品という部品は全て汚れており、金属パーツは全てに錆が出ているから、材質に合わせて洗浄する。金属部品は取り外してからステンレスのトレイに並べてKURE 5-56をビシャビシャになるぐらいにぶっかけて「KURE 5-56漬け」にしちゃう。するとたちまちにしてトレイの底に溜まっているKURE 5-56の液剤が茶色く濁ってくるので、そのまま数時間放置する。さらに特に錆と汚れが酷い部品は歯ブラシで何度もゴシゴシこする。 |
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全ての金属パーツをKURE 5-56に浸けて錆落とし
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プラスティック部品はキッチンクリーナー(キッチン・マイペットとキッチン・ハイター)で洗浄してから、良く水洗いして乾かす。日焼けによる永久変色は直らないが、それは「味」だからいいだろう。最近のFenderやGibsonの数10万もするカスタムショップ製はわざわざ経年変化を再現するんだから【笑】。 |
ピックガードの裏側で電気部品をマウントする真鍮製のバックプレートは錆と変色の程度が酷いのでKURE 5-56でも汚れは落ちないから#1000のサンドペーパーで磨き上げる。この作業は重要で、こうして表面を綺麗にしておかないと通電性が復活しないのである。通電性が無いと、後で取り付けるポット類やスイッチの金属部分とのアースが取れないのである。 |
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真鍮のバックプレートはサンドペーパーで磨いてピカピカにする。こうしておかないと後で部品を組み付けたときに確実なアースが取れないからである
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大昔の安物の国産ストラトのピックガードの裏面はシールドなんかしてないので、ピックガードの洗浄後、キッチン用のアルミホイルを二重に貼り付ける。接着はゼリー状の瞬間接着剤。二度と剥がすことはないし、将来的には5,000円前後で手に入る交換パーツに取り替えればよいからである。 |
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縁を落として出来上がり。アルミホイルは念の為に二重にした
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ピックアップだけ先に取り付ける。アルミホイル部分に瞬間接着剤の「ポチポチ」が見える
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今回はオーナー氏の予算の都合でピックアップは取り替えず、いにしえのTOKAI製をそのまま使う。なので、ピックガードのシールド加工が終わったら、三つのピックアップだけは先に取り付けてしまう。 |
ペグもクロームメッキにピンホールが生じて曇っているので、やはり#1000のサンドペーパーで磨いちゃう。その後で、ぼろ布にKURE 5-56を浸み込ませたもので磨いて錆止めをしておく。 |
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ペグが錆びているのでサンドペーパーで磨く。手前が磨いた状態。他はまだなので曇っている
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写真はないが指板や木部、塗装部などに関しては、かなり汚れていたので以下の方法で徹底的にクリーニングした。 |
- 筆者愛用のジョンソン・プレッジ(家具用スプレークリーナー)を多めにぶっかけて暫く放置して汚れを浮かせる
- 20分後ぐらいにぼろ布と歯ブラシでクリーニング
- フレットと指板の勘合部には手垢が溜まっているので爪楊枝の先でほじくり出す(21フレット×両側=42カ所全部である)
- ウレタン塗装の浅い傷、ストラップが擦れて艶が無くなっている部分などについては(塗料用のコンパウンドの在庫がなかったので)歯磨きクリームを使って磨き上げた。歯磨きには超微粒子の研磨剤が入っているのでコンパウンド代わりに使えるのは工作の常識♪
- 再びジョンソン・プレッジをぶっかけて磨き上げる
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ネックは正常だったのでトラスロッドはいじらず。フレットもそのまま。ネック接合部のボルトは増し締め。思ったほどは緩んでいなかったが、回すことは出来た。 |
ところで、安物国産ストラトの塗装は当然、ウレタン系。なのでネック裏が手のひらにまとわりつく感触があって滑りが悪い。なので、オーナー氏の許可を取ってから、#320のサンドペーパーで丁寧にサンディングしてサテン仕上げとした。ウレタン塗装は塗膜が厚いので少々サンドペーパーを掛けたぐらいでは木部が露出するような心配はない。 |
ところで。ここまで完全にオーバーホールするなら、それだけではつまらない。友人は予算はミニマムでと言う。なので、例によって例のごとくインターネットを調べて「Sonic Turbo Blender-2」なるものをサウンドハウスで注文した。 |
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サウンドハウスで注文した「Sonic Turbo Blender-2」
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これは要するに、通常のストラト系の電気回路をちょいといじったアイデア回路。標準ではリア用のトーン・ポットのパーツを「ブレンダー」と称する特殊な働きをするポットと入れ替えてあるのだ。このブレンダー・ポットは、フルテンの時は全くノーマルのストラトと同じ動作をする(つまりはバイパス状態な)のだが、ブレンダー・ポットを0方向に回していくと、フロント・ピックアップの信号が直列でブレンドされるという仕掛けである。つまり、別掲のテレキャスター用の4-Way Switchと同じく、フロントとリアを直列でミックスさせて(ストラトらしからぬ)出力と厚みを稼ごうと言うわけである。 |
さらにボリューム・ポットはフルテンにしたときに完全に抵抗回路が切り離されるフルアップ・ポットとなっている。全ての部品は最初から配線済みなので、後は三つのピックアップからの配線、ジャック・プレートからの配線、そしてブリッジ・アースそれぞれを「Sonic Turbo Blender-2」に半田付けすればいい。勿論、実体配線図が付属する。しかも価格は7,000円弱である(フルアップ・ポットではないタイプなら5,000円弱)。 |
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「Sonic Turbo Blender-2」の取り付け完了
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配線完了。あとはピックガードをひっくり返してボディに組み付けるだけ。弦は状態を見るためにテスト的に張ったもので、この写真を撮った後に外した
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組み上がった「Sonic Turbo Blender-2」搭載のピックガード・アッセンブリーをボディに組み付け、例によってZOOM 707II GUITARに繋いでヘッドフォンを被って正しく配線されているかのチェック。この時点では弦を張っていないので、ドライバーの先端でピックアップのポールピースを叩いて、5-Wayレバースイッチのポジションと、実際に選ばれる(切り替えられる)ピックアップが正しいかをチェックするだけ。問題なし。筆者の環境ではストラト(=シングル・コイル・ピックアップのエレキギターにつきものの)ハムノイズ(誘導ノイズ)も皆無。つまり配線状態は正解と言うこと。 |
なので、いよいよ最終仕上げにはいる。新品の弦に張り直し、Fender特許のシンクロナイズド・トレモロを米国Fender本社のWebSiTEからダウンロードできるPDF版の取扱説明書に従って一番標準的な状態にセット。つまりアーミングはダウン方向のみ。 |
ここまでが夜中の作業。翌朝になって(新品の弦のテンションに対して)ネックが落ち着いたところで弦高調整を行う。弦高調整とは「弾き手の好み」と「弾きやすさ」と「ビビり」の妥協点を見付けることだが、今回は自分のギターではないので、一番標準的な状態にセット。 |
それが済んだらオクターブ調整である。こう言う場合は極めて精度が高いKORG DT-7が便利なのでdpBassSystemを使う。名前と違ってdpBassSystemはギター用にも問題なく使えるし、dpGuitarSystem2よりもコンパクト。さらにスラントしているのでテーブルの上で作業するのに便利なのだ。 |
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国産ストラト → dpBassSystem → ZOOM 707II GUITAR → ヘッドフォン
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オクターブ調整後
(ブリッジが扇形に見えるのはデジカメのレンズの収差のせい)
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これにて完成♪ あらためてジョンソン・プレッジでピカピカに磨いて記念撮影をしてお仕舞いである。 |
ところで。先ほどの「ストラト → dpBassSystem → ZOOM 707II GUITAR → ヘッドフォン」と言う接続で、dpBassSystemのEBS MultiCompとXotic Bass RC-BoosterをONにしてクランチーなサウンドを作って色々と弾いてみたが、誰がどう聴いたって、ストラトの音である【笑】。また、Turbo Blenderでフロントをミックスすると思いっ切り音が太くなって出力が上がるのは結構、気持ちが良い。この状態を基本に将来的にピックアップを今どきの高級品に変えれば結構、宜しくなるのではないだろうか? とにかく「Sonic Turbo Blender-2」はお薦めである。 |
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一体、地球上にこの形状のギターは何本有るんだろう?
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蛇足:ところで筆者はストラト系はまるで駄目である。40年近くGibson系しか弾いたことがないからストラト系はまともに弾けないのだ。以前に、今回オーバーホールしたTOKAI製ストラトと見た目は殆ど同じ、メープル・ネックのFender JAPAN製ストラトを貰ったことがあるが数ヶ月で手放してしまったぐらいである。なんで弾けないかと言えば、それは下記の理由による。 |
- ロング・スケールである(Gibson系=GM8Rも同じ=はミディアム・スケールである)
- ボリューム・ポットの位置が近すぎる(どんなに注意しても触ってしまい、思った位置から動いてしまう)
- メイプルネックは指に馴染まない
- フレットが低すぎ&細すぎて左の指で弦を押さえた感触が心許ない
- ラウンドの大きい指板に違和感がある
- シンクロナイズド・トレモロは使わない(使えない)ので意味がない上に、筆者としてはチューニングの不安定要素にしかならない
- ノーマルではファットなサウンドが得られない(当たり前だ)
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但し、コンターボディは合理的だと思う。何故ならば、ライブなどで年甲斐もなく元気に演りすぎた場合にLes PaulやGM8Rだと必ず右腕の内側が痛くなるのだが、これはLes PaulあるいはGM8Rのボディ表面上部の角と擦れるからである。ライブでは99%、半袖なので、演奏後は右腕の内側は真っ赤になっているのだ。ストラトなら、そこは滑らかにカットしてあるから、こんな問題は起きないのである。 |
となれば、筆者として理想的なストラトは次のようなものになるが、だったら、それはもうストラトではないわけで、要するに筆者とFender系は縁がないと言うことなのであろう【爆】。 |
- ミディアム・スケール
- ローズウッド指板
- Jim Dunlopの太いフレット(≒SRV)
- ノーマルボディ
- ピックアップはSSHあるいは2H + オートタップの5-Wayスイッチ
- 1ボリューム。位置は通常の三つの真ん中。他は無し
- ハードテイル(トレモロ無し)
- ヒールカット
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