2007.06.14[木]
dpGuitarSystem
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dpGuitarSystem2
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Oldies
■ dpGuitarSystem2 その24
2007.06.16[土]追記
dpGuitarSystem2 Ver. 8.0 趣味の抜き版画像♪
dpGuitarSystem2 Ver. 8.0は「『ワイアレス』+『エフェクター=4台とチューナー(合計5台)の直列接続』」と言うシステムだから、理論的には「二重にゲイン落ち&音質劣化する」わけである。こう言うシステムは、ちゃんとしたセッティング(各種パラメータの追い込み)をして「音の芯が無くならないように留意」しないと、何とも「腰のないサウンド」になってしまうものである(エフェクター歴=30数年の経験者は語る【爆】)。また、そもそも、エフェクターは音を良くしたりバリエーションを増やすためのものであり、ワイアレスはライブ・ステージでのパフォーマンス(ステージ・アクション)をやりやすくすると同時に現場での配線を楽にすると言うメリットもある便利グッズだが、それらによって肝心要のギター・サウンドが劣化しては本末転倒もいいところになってしまう。
そこで、そうならないために、今回のシステム変更で使わなくなったMLS-2(多機能ループ切り替えボックス)を利用して「ギター → ギターアンプ直」を基準に、dpGuitarSystem2 Ver. 8.0を通すことによって生じる音質劣化(具体的には「ゲイン落ち」「周波数特性の変化」「過渡特性の変化」「バッファーアンプの有無による変化」など)を厳密に比較試聴(オーディオ用語で言うところの「AB比較」)して確認し、それを補正(≒較正=キャリブレート)しようと思い立った。
なお、音質劣化の原因となる5台の機器のON/OFF時の動作の詳細は下記の通りである(接続順)。
EBS MultiComp:OFF時はバッファーアンプを通る
Xotic RC-Booster:トゥルーバイパス
KORG DT-7:バイパス回路はバッファーアンプを通る
Xotic AC-Booster:トゥルーバイパス
BOSS DD-6 Digital Delay:電子スイッチ(トゥルーバイパスではない。単独でAB比較をすると誰でも一発で判るほどの音痩せがある。但し筆者の場合は常時ONなので比較はON状態で行えばよい)
これにSamson AirLine=ワイアレス・システムが加わるわけである。書くまでもないが、Samson AirLineの内部ではAD変換とDA変換が行われるし、回路にはリミッターが入っている。つまり音が変わらない方がおかしいのである。
ほいでもって、キャリブレーションのための配線は三通りが考えられる。
比較のための配線その1:
ワイアレスの件はひとまず置いて「ギター → ギターアンプ直」と「エフェクター&チューナー=5台直列状態でのオールバイパス(全てのエフェクターのフットスイッチをOFFにした状態。但し、前述の通りBOSS DD-6 Digital DelayはエフェクトレベルをゼロにしてONにする)」を直接比較して、音質劣化をチェックする接続。
アンプ直とエフェクター=5台直列を比較試聴できる配線(ワイアード)
比較のための配線その2:
「ギター → ギターアンプ直」と「ワイアレス・システム一式」を直接比較出来る配線。手抜きをするなら、この配線だけをチェックすればよい。
アンプ直とエフェクター=5台直列を比較試聴できる配線(ワイアレス)
比較のための配線その3:
ワイアレスとワイアードの違いを一発で比較できる配線。原則としてワイアレスで行くなら、あんまり時間を掛けて比較しても意味はないと言えなくもない。
ワイアレスとワイアードを直接比較するための配線
本当は(正しくは)そしてスタジオに籠もる充分な時間が取れるのであれば、下記のシーケンスでキャリブレートするのが望ましい(詳細省略)。
「ギター → ギターアンプ直」と
「dpGuitarSystem2オール・バイパス状態」を徹底比較
「Xotic RC-Boosterのパラメータの調整」で音痩せ対策をする
「調整結果をマーキング」
「ワイアード状態のdpGuitarSystem2(キャリブレート済み」と
「ワイアレス状態のdpGuitarSystem2」を徹底比較
「Samson AirLineのレシーバのLEVEL調整」をして
両者のトータルボリュームを等しくする
「調整結果をマーキング」
「Xotic RC-Boosterのパラメータ調整」で音質変化(劣化)対策をする
「調整結果をマーキング」
以上が完了すれば、Xotic RC-BoosterとBOSS DD-6 Digital Delayは常時ON、EBS MultiCompとXotic AC-Boosterは曲想によって適宜ON/OFFと言う組合せが出来上がる。
組合せ/エフェクター
※Samson AirLineとKORG DT-7は省略
1
クリーン
2
クランチ
3
オーバードライブ
4
ソロ
つまり、Xotic RC-Boosterは音質補正用と決めた場合の「タップダンス無しのバッキングとソロの組合せ」は下記の4通りとなる。
1
クリーン
▲
▼
ソロ(クランチ)
2
クリーン
▲
▼
ソロ(オーバードライブ)
3
クランチ 〜 オーバードライブ
▲
▼
ソロ(フルゲイン)
4
オーバードライブ
▲
▼
ソロ(フルゲイン)
結果はシンプル極まりない操作系でありライブ向き・実戦向きである。それでもバッキングのサウンドが3種類、ソロのサウンドも3種類ある。これにギター側のサウンドバリエーション(7種類
※
)が加わるから順列組合せは42通りとなる。
※
ギター(GM8R)のサウンドバリエーションは下記の通り
フロント(ハムバッキング)
フロント(パラレル)
フロント(シングル)
フロント(ハムバッキング)+リア
フロント(パラレル)+リア
フロント(シングル)+リア
リア(ハムバッキング)
ちなみに、実際にスタジオでキャリブレートする場合の作業は、がっかりするほどややこしい。一例として「アンプ直とワイアレス一式」という、最も差の激しい比較(と調整)について箇条書きにしておこう。
一番ロス=劣化が大きい状態とアンプ直の比較で調整する場合
Samson AirLineを動作状態にしておく
dpGuitarSystem2上のエフェクターを全てOFFにしておく
但し、BOSS DD-6 Digital DelayはONにし、エフェクトレベルをゼロにしておく
MLS-2がOFFの状態で、ギター(
GM8R
)→ ギターアンプ直の接続で、最も標準的なクリーンサウンドにセットする
MLS-2をONにして「ギター → MLS-2 → Samson AirLine → dpGuitarSystem2 → ギターアンプ」に切り替える
そして、MLS-2のON/OFFで音量差が無いように、Samson AirLineのレシーバ(受信機)のLEVELを調整する。この時点では原則として音量だけを基準に調整する
完了したらSamson AirLineのレシーバの適性位置にマーキングする
次にXotic RC-BoosterをONにする(この時点では以前に調整した、ONの状態でゲイン=ゼロのマーキングの位置にXotic RC-Boosterのボリュームとゲインを合わせておくこと)
この状態でMLS-2をON/OFFして、今度は音量だけでなく、音痩せ、周波数特性の変化などに注意しながら、Xotic RC-Boosterのボリューム(=出力レベル)、ゲイン、更にトレブルとベースを操作して、ギター側フルテンで強くピッキングした場合に軽いクランチになる程度のクリーン・サウンドになるように調整する
※
※
ギターアンプがJC-120の場合とFender Twin Amp(いずれも練習スタジオやライブハウスで一番、多く使うことになるアンプ)では歪み具合が違うので、両方チェックするのが望ましい
おおよそ納得
※
したらXotic RC-BoosterをOFFにする
※
ワイアレスによる音痩せと高域のチリチリ感を完璧にカバーできるはずはないので適当なところで妥協しなければいけない
※
Xotic RC-Booster=常時ONと決めるならOFFにせず次に進む
設定した4つのつまみの位置をマーキングする
次にEBS MultiCompをONにする(この時点ではEBS MultiCompの二つのつまみは左一杯に回しておく)
MLS-2をON/OFFして、サウンドの変化をチェックしながら、EBS MultiCompがONの時に筆者的に気持ちの良いクランチーなサウンドになるようにGAINつまみを調整する(COMP/LIMITつまみは11時近辺がベストであると判っているので、回すのはGAINつまみだけである)
おおよそ納得したらEBS MultiCompをOFFにする
EBS MultiCompのGAINつまみの位置をマーキングする
Xotic AC-BoosterをONにする
MLS-2をONにする
すると、いきなり音域が狭くなったような感じに音質が変化するが、これはXotic AC-Boosterが名前とは違ってオーバードライブ・ペダルだから問題とはならない。なので、それは無視してボリューム(Xotic AC-Boosterの出力レベル)を調整し、さらにXotic AC-Boosterだけで筆者的に気持ちの良いオーバードライブ・サウンドになるようにゲインつまみを調整する。必要があればトレブルとベースも調整する
但しXotic AC-Boosterのゲインは(曲やその日の気分で)頻繁にいじる部分なので、この時点ではあくまで標準的な出力レベルに調整することに重点を置くこと
完了したらXotic AC-BoosterをOFFにする
Xotic AC-Boosterのつまみの位置をマーキングする
改めて、MLS-2のON/OFFと、EBS MultiCompとXotic RC-BoosterとXotic AC-BoosterのON/OFFを個別に繰り返して
※
、それぞれのバランスを考えて、ファイン・チューニング(主として、それぞれの出力レベルの微調整)を行う
※
Xotic RC-Booster=常時ONの場合は次項へ
次にEBS MultiCompとXotic RC-BoosterとXotic AC-Boosterの任意の二つずつの組合せをチェックする
最後に三つともONにして発振しないかをチェックする(フィードバックなら良いが発振=ハウリングは困る)
以上で完了
……と、ここまでの記述は例によって全て「机上の空論」である。だから、本当のところは練習スタジオで実証事件を行わないと何とも言えない。とは言っても、ヘッドフォンとZOOM 707II GUITARでも基本的なチェックは出来る。と言うわけで、前掲の作図通りの配線で様々な状態での音痩せチェックをしてみた。その結果は意外なものであった。
5台直列のロスのチェックのための配線状態
まずは上の写真の状態。MLS-2のON/OFFでエフェクター5台直列(含むチューナー)による音質劣化のチェック。ところが、これが意外にも殆ど劣化と言えるほどの変化がないのだ。推測するに、多分、トゥルーバイパスが2台、バッファーアンプ内蔵が2台だからだろう。残留ノイズもゼロと言える。これならXotic RC-Boosterで補正するまでもない。
5台直列+ワイアレスのロスのチェックのための配線
となれば次はワイアレスによる音質劣化のチェックなので配線を変更。ここで大事なのは前述のようにレシーバの出力レベル調整だが、それは前にやってあるので、その確認。問題なし。音質劣化、サウンドの変化も少なくともヘッドフォン+ZOOM 707II GUITARでチェックする限りは極小。と言うか、びっくりするほど、さっきまでの配線と差が無い(勿論、差=違いはあるが、思った以上に少ないと言うこと)。これ、今になって反省するに、以前にSamson AirLineを使っていたときは、この出力レベルの設定が適性ではなかったようなのである(低すぎた=ちゃんとキャリブレートしていなかった)。
ワイアレスとワイアードの比較のための配線
そこで、5台直列をワイアードとワイアレスそれぞれで直接AB比較できる配線に繋ぎ換えて更にチェック。少なくともヘッドフォンで聴く限りは全然問題ないぐらいにしか差がないのである。ここから先はギターアンプから音を出して調整しないと意味がないのだが、とにかく、これで安心して次回のバンド練習にdpGuitarSystem2 Ver. 8.0を持って行けるぞと。
なお、以上のチェックの結果を前提とすると(Xotic RC-Boosterを音質補正専用とはせず)EBS MultiComp、Xotic RC-Booster、Xotic AC-Boosterそれぞれを個別に調整してベストな状態にセットし、自由に組み合わせて使うのが良さそうである。つまり前ページ掲載の下記のバリエーションを気分で使うのである。以下、再掲(色の違いは使用頻度)。
1
クリーン
アンプ直よりもファットなクリーンサウンド+タップド・ディレイ
▲
▼
ソロ(クランチ)
音量アップと同時にクランチ気味=歪みが増える。勿論、サステインも増える
2
クリーン
アンプ直よりもファットなクリーンサウンド+タップド・ディレイ
▲
▼
ソロ(オーバードライブ)
完全なクリーンからオーバードライブ系のソロへの切り替え。もっとも分かり易い使用例で言うと「つのだ☆ひろ」の「メリー・ジェーン」の成毛滋のソロみたいな感じ【笑】
3
クランチ
本来ベース用であるEBS MultiCompを筆者の環境で使うとクリーンなコンプレッサーではなく、クランチーなサウンドになる
▲
▼
ソロ(ブーストアップ)
音量アップと同時にサウンドがファット=つまり、太くなる。これ重要。カッティングしているときとソロを取っているときでは要求するサウンドはまるで違うと言うこと。使用例としてはCharの「気絶するほど悩ましい(オリジナル版)」とか【笑】
4
クランチ
本来ベース用であるEBS MultiCompを筆者の環境で使うとクリーンなコンプレッサーではなく、クランチーなサウンドになる
▲
▼
ソロ(オーバードライブ)
クランチからオーバードライブへの切り替え。歪みが増す
5
オーバードライブ
Xotic AC-Boosterだけの純粋なオーバードライブ。セッティング次第で歪み量を調整
▲
▼
ソロ(ブーストアップ)
Xotic RC-Boosterによって音圧アップ。歪み量も増す
6
オーバードライブ
Xotic AC-Boosterだけの純粋なオーバードライブ。セッティング次第で歪み量を調整
▲
▼
ソロ(ブーストアップ)
Xotic RC-BoosterではなくEBS MultiCompによるブーストアップ。こちらの方がサウンドが粗めになる
7
クランチ 〜 オーバードライブ
EBS MultiCompとXotic RC-Boosterの組合せはセッティングによってはマーシャル的なオーバードライブ状態になる。つまりDeep Purple的である
▲
▼
ソロ(フルゲイン)
Xotic AC-Boosterを足せばフルゲインのソロになる
8
オーバードライブ
かなり粗めのオーバードライブ・サウンド
▲
▼
ソロ(フルゲイン)
フルゲインのソロ
9
オーバードライブ
厚みのあるオーバードライブ・サウンドによるバッキング
▲
▼
ソロ(フルゲイン)
フルゲインのソロ