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2001.03.01[木]更新
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■ 蘊蓄&Tips@2001:ジョブスがヘンリー・フォードでないことを祈ろう
今、筆者はデイビッド・ハルバースタムの「覇者の驕り」を読んでいる。この作品は後にNHKがそれを下敷きにした日米自動車戦争のドキュメンタリー番組を作ったので、ある程度内容を知っている人は多いだろう。要約すれば日本とアメリカを舞台とした自動車産業の栄枯盛衰物語である。取材は緻密、描写は的確かつ辛辣なので非常に面白い。
その中で特に興味深いのが今日のオートメーション工場の基礎を完成させたヘンリー・フォードの物語である。彼は農家の生まれだが、そこを飛び出してデトロイトに出向き、生来の機械いじりの才能を活かして自動車会社を起こし、そして最終的にT型フォードの量産体制の確立によって巨万の富を得た。
ここまでは普通のアメリカン・ドリームのお話なのだが、それからのヘンリー・フォードの行動は異常としか言いようがない。彼は自動車そのものには実は余り興味がなく、生産工程の改善だけに腐心した。この結果、T型フォードは10数年間全くモデルチェンジをせず、その間に急激に台頭してきたGM(ジェネラル・モータース)との競争に対しては、ただひたすら値下げだけを繰り返した。この結果、フォード社は自らが切り開いた大衆自動車市場のシェアを限りなく落としていったのだった。
ヘンリー・フォードの奇行はこれにとどまらず、何と実の息子であるエドセル・フォードをいじめ抜いて最後には死に至らしめたし、財務や経理を極端に疎んじ究極の放漫経営を行ったが、その理由は国税庁を欺くためだったという。それでも彼は唯一オンリーたるオーナーであったから、彼が生きている間は誰もそれに逆らうことは出来なかったのだった。

話は変わってMacworld Expoである。ちょうど、今、これを書いている土曜日が幕張のMacworld Expoの最終日である。そのMacworld Expo東京で発表された新製品は大方の期待を裏切った内容のiMacとG4 Cubeであった。前者の目玉は70年代サイケ調の花柄などの外観とCD-R/RWの装備であり、後者はCD-R/RWの装備と値下げであった。

その昔、今からもう20年近く前、ジョブスとウォーズニアックが世界最初の誰にでも手に入るパーソナル・コンピュータであるアップル・コンピュータを作り、そしてさらに数年後、当時としては正に画期的としか言いようのない概念のMacintoshを発表したわけだが、ジョブスはかたくなにMacintoshの拡張性を否定した。
その後、社長として雇った男、つまりジョン・スカリー(当時はペプシコーラの副社長だったのを強引にスカウトした)に追い出されたジョブスはNeXTとピクサーを経てAppleに凱旋し、確かにAppleを救った。どん底だったAppleはジョブスのカリスマ性によって復興した。かつて最初のMacintoshで行ったように従来のインターフェースやデバイスの一部を切り捨てた。例えば今、新品のMacintoshにはFDもSCSIもシリアル・ポートもない。そして、それらの選択と決断は明らかに正しかった。
iMacは画期的に売れまくり、社会現象となり、亜流を生み、様々な分野のデザインやカラーに影響を与えた。しかし、そのiMacにも商品寿命というものがある。コンピュータの世界は日進月歩ではなくて秒進分歩であるから、特定の商品の優位性はあっと言う間に陳腐化する。ここ1年ぐらいで言えば、MacintoshにはCD-R/RWが標準搭載されていなかったことは大きなマイナスであり、そこで慌てて、それを今年になって搭載したわけだが、しかし時代は既にCD-R/RW/DVDコンパチ・ドライブなのである。今までのiMacでDVDが見れたのに、新しいiMacはCD-Rを焼くことは出来てもDVDは見られないと言うのは明らかに退歩と言わざるを得ない。また、iMacはパソコンがデザイン=見てくれ=によって売れると言うことを証明したが、それにつられて世界中のコンピュータのデザイン品質が向上した結果、iMacの個性が消失した。

純粋にハードウエアとしてiMacを見た場合、今や15inchのCRTディスプレーは完全に時代遅れである。G3/600MHzの速度にはなんの問題もないのだが、狭い画面は致命的である。
これで次のiBookが一回り大きい液晶を搭載したらiMacを選択する意味はなくなる。かと言って、17inchCRT一体型のiMacでは巨大になりすぎて最初から商品性がないから、これはあり得ない。
15inch液晶ディスプレーとG4 Cubeの組合せが158,000円ぐらいなら売れるかも知れないが、もしそれが出るならばいよいよiMacは必要がない。
そうなるとPowerMac G4の存在価値もあやしくなるが、しかし、いずれにせよ、今のMacintoshの商品構成はたったの1年半でぐちゃぐちゃになってきたと言える。これではスカリー〜アメリオ時代と同じ事である。(※このコラムで書きたいこととは関係ないが、ついでに言えばPowerBook G4/500MHzにCD-R/RW/DVDコンパチ・ドライブが搭載されて、HardDiskが20〜30GB、メモリーが最初から256MBで198,000円なら、あっと言う間にVAIOを抜いて世界中のノートPCの単品トップになるだろう)

このような混乱を招いた全ての責任がジョブスにあるとは言わない。モトローラがちゃんとロードマップ通りにPowerPCの開発に成功していれば、商品構成に合わせたCPU性能を整然と並べることが出来たはずである。そうすれば、車で言えばヴィッツからセルシオまでのようなピラミッド型の品揃えが出来ただろう。
G4 Cubeの欠陥はApple社の製造部門の問題だろう。しかしCD-R/RWに関しては完全にMacintoshの盲点だった。つまりそれはジョブスの盲点であった。iMacとiBookは明らかに最初からコンセプトがバッティングしていた。PowerBook G4はもっと早く出るべきだった。

スティーブ・ジョブスとヘンリー・フォードは時代も世代も環境も考え方もまるで違うはずである。しかし超ワンマンなカリズマと言う意味では全く同じである。幸い、今のアメリカはヘンリー・フォードの時代のような放漫経営は許さないから財務経理が目茶苦茶であると言うことは考えられない。Appleは現在大赤字ではあるがびっくりするほどの現金を持っている。
だがG4 Cubeの不良在庫は深刻だし、一度、欠陥商品と認定されたのだから製造中止も決断だろう。PowerBook G4の出荷はまるで滞っている。

と言うわけで10年来の毒林檎ファンとしては、表題のように、ジョブスがヘンリー・フォードではないことを祈るだけなのである。ただしジョブスはオーナーではない。ただの雇われCEOである。役員会あるいは株主総会で馘首を切られればそれで終わりである。だからヘンリー・フォードとは全く立場が違う。
しかしジョブスに変わる人材が居ないこともこれ又、極めて明確であり、であるならば、結果的にジョブスの影響力が直接的にApple社の将来に反映されるという意味では、普通の会社のオーナー以上の「パワー」を持っているのも事実ではあるが。

それにしても発注から既に41日目。我がPowerBook G4は、じぇんじぇん届かない(T_T)
だからこんなことをグダグダと書くのだ………。
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