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iBookに繋いだPM-780CにAirMac経由で
PowerBook G4からプリントできる
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ある作業のためにSOHOでフォトクォリティの出力が必要になった。簡単に言えば、古い写真をスキャンして複製を作るのである。エプソン・カラリオは実家にPM-700Cがあるので、スキャンだけをSOHOでやっておいて、プリントは実家のPM-700Cでと言う手も無いではないがやはり面倒くさい。それにプリントするのはA4でざっと200枚ぐらいあるので、そうなるとインクジェット+フォトクォリティ印刷の場合、どうやったって一日では終わらない。用紙とインクの補充があるからカラリオのそばを離れることも出来無い。「だったら(どうせ新型が出ているし価格も下がっているはずだから)買っちゃった方が早い」と言う安易な結論からいつものビックカメラ渋谷東口店へ。カラリオも随分と世代交代し、しかも機種バリエーションが増えたのだが、筆者が必要とするのはせいぜい四辺縁なし印刷までだから、そうするとPM-780Cで良いと言うことになる。これより上の機種の場合はロール紙が使えるとか、デジカメからダイレクト(メモリーカード対応)印刷とか、はたまたCD-Rプリント、そしてその上はA3サイズとなるのだが、印刷品質についてはどれも基本的に同じ。と言うわけでPM-780Cに決めたのだが、その価格はなな何とたったの17,800円。大量のフォトクォリティ用紙と交換用インクカートリッジを含めても4万円でお釣りが来るんだから素晴らしすぎるデフレの世の中。 |
さて。カラリオはPM-700Cが発売された時点の他社比較で革命的としか言いようのない印字品質で、あっと言う間にキヤノンやHPを駆逐してベストセラーになったのだが、しかし少なくともその頃のMac版のプリンター・ドライバーは滅茶滅茶タコだった。欠点欠陥をざっとあげても………
- AppleTalkに対応していない
- バックグラウンド印刷がすぐにこける
- Macとカラリオの電源を入れるタイミングで認識したりしなかったり
………などなど。
だから今回もプリンター・ドライバーについての危惧があったのだが、幸いにしてそれは全くの杞憂だった。それどころか、前には無かった筈の「共有プリンタ機能」が素晴らしい。これはどれか一台のMacにカラリオをUSB接続しておけば、他のMacからEthernetあるいはAirMac、つまりAppleTalk経由で印刷できちゃう機能のこと。
設定は簡単至極で、USB接続しているMacのセレクタを開き、プリンタ・アイコンを選んで認識させてから、情報ボタンを押して共有オプションを有効にするだけ。
うちの場合で言えば上の写真の通りiBookにUSB接続して、物理的に離れたところにあり、勿論PM-780CとはUSB接続されていないPowerBook G4のセレクタを開くと、最初から「共有プリンタ(PM-780C)」として認識されるのである。 |
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クライアント(PBG4)側のEPSON Monitorウインドウ
暫くすると同じウインドウがサーバー(iBook)側でも開いてプリントが始まる
クライアント側が早めに解放されるメリットは大きい
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この結果、今回の作業はPowerBook G4から(RICHO IMAGIO Color2800Fでのスキャンも含めて)全てAirMac経由で可能だった。
なお、このようにiBookを一種のプリンタ・サーバーとして使うとクライアント側は印刷ジョブから早めに解放されるので、PowerBook G4の負荷が無くなり、続けての作業が楽になると言うメリットも大きい。で、肝心要の印刷品質だが、これはもう全く言うこと無し。店頭にある印刷サンプルは嘘ではないのである。つまりそのクォリティは写真と同等あるいはもしかしたら写真より綺麗かも知れない。
紙送り精度も完璧。総計200枚近くを印刷したわけだがフィード・エラーなどは一回も発生せず。インクが無くなればちゃんと音声で警告がなされ、インクを入れ替えれば用紙の無駄もなくちゃんと続きから印刷された。また、売り物の「四辺縁なし印刷」も見事の一言。A4などは必要がないと思うが葉書印刷には必須であり、しかも、本当にびったし縁なしで印刷される。エプソンの技術力に脱帽である。それで17,800円なんだから、本当に便利な時代になったものである。 |
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ベストセラー商品だからサードパーティのサプライ品も充実しているのが嬉しい。プリンターは埃を嫌うからジャストサイズのダストカバーは必須 |
ところで、パソコンショップなどに行くと分かることだが、エプソン純正の用紙はやたらと種類が色々あるので最初はどれを買って良いのかが分からない。プリンターがエプソンだけの場合は別だが、うちの場合はテキスト主体のものはRICHO IMAGIO Color2800F(PostScript3 カラー・レーザー・プリンター)でプリントするので、エプソン・カラリオで出力したいのはひたすら写真クォリティのもの。この場合、店頭でエプソン純正の用紙のパッケージを見ると「PM写真用紙(光沢)」と「フォトプリント紙2」の二種類があり、どっちがどうなのかがパッケージの説明を読んでも判然としない。
結論から言うと、「まんま写真」と言う印刷結果が欲しい場合は「PM写真用紙(光沢」を買うこと。艶と深み、そして発色の鮮やかさがまったく違う。これを使えば、どんなにうるさい人でもDPEは不要と断言できる。
困るのは「PM写真用紙(光沢」の葉書サイズがないことだが、多分、雨水などに弱いのだろう。だから写真サイズで印刷したい場合は「PM写真用紙(光沢」のL判サイズあるいは、その倍の2L判を使うことになる。
欠点としてはエプソン純正用紙は価格が高いと言うこと。コダックや富士フイルムの写真専用光沢紙だと価格はおよそ2/3なので、それを試しに使ってみたが発色が全然違う。色が沈んでしまうのだ。 |
インクジェット・プリンターは本体は安価だがランニングコストが掛かるのが最大の欠点。発色優先で「PM写真用紙(光沢」を使うと用紙が高価なだけでなく、実はインクの消費も早くなることに気が付いた。筆者の推測では「PM写真用紙(光沢」を使う場合は他の用紙よりもインク噴出量が多いようなのだ。インクジェット・プリンターはプリンター・ドライバーの設定を用紙に合わせて変更する。「PM写真用紙(光沢」は表面が光沢仕上げであるだけでなく、紙そのものが厚い。だから恐らくインク噴出量を微妙に増やして用紙の厚み方向に「深く豊かにインクを浸透させている」と思われるのである。同じ事を普通紙でやったら滲んでしまうはずである。
ここから先は各人の考え方だが、筆者の場合で言えばデジカメで撮影したものをプリント・アウトするのはアルバムにする、人にあげる、季節の挨拶の葉書を作るなどの限られたケースなので、だったら結果最優先の「PM写真用紙(光沢」メインとなるわけである。
ついでに言うと、エプソン独自の四辺縁なし印刷をすると余計にインク噴出量が増える。これは紙送りの最後の部分をインク交換用カバーを開けたまま観察していれば分かる。
しかしそれにしてもエプソンの紙送り精度とインク噴出量のコントロールについての精緻正確さには感心してしまう。紙送りはミクロン単位、インク噴出量はピコ・リットル単位だそうだが、こういう現実離れしたような単位が2万円弱の民生機で実用化できるというのは、ある程度メカに詳しい人間からすれば驚異的だからである。日本人独特の感性(クォリティへの異常なこだわり)と日本市場独特の同質的過当競争がもたらした快挙ないしは奇跡であり、それが世界市場を席巻するのは余りにも当たり前のことである。他の民族や他の国の市場は本来はここまでのクォリティを要求するはずがない。だから結果としてこういう分野では日本の一人勝ちになってしまうのである。 |
補足:EPSON PM-780C購入から5年と2ヶ月後の2006年10月5日[木]に、その時点で最新型のEPSON PM-G850に買い換えた。詳しくはこちら。 |
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