■ 蘊蓄&Tips@2002:夏休み Mac OS X 実験室
Mac OS X 10.2(Jaguar)が来る前に10.1.5を試す その3
Mac OS X 10.1.5の進歩したクラシック環境のお蔭でMac OS 9.2.2単独起動の状態のコントロールパネルや機能拡張がそのままで立ち上がる。だから殆どのソフトがそのまま動くのは立派。但し致命的な問題もある
現在のMac OS X 10.1.5は殆どの場合、そのままの状態で従来のMac OS 9.2.2で動いているPowerBook G4と同じように一通りの作業が出来る。つまり現段階のクラシック環境はかなり互換性が高いと言える。
しかし問題がないわけではない。
ひとつは(何度も何度も書いているし前ページにも書いているのに又繰り返すが)Mac OS 9.2.2のFinderが動かないので、Mac OS Xの慣れ親しんでいないFinderを使わなければいけない点である。これは慣れの問題もあることにはあるのだが、Mac OS XのFinderがまだまだ熟成途中であるという点も見逃せない。
下図を見れば判ることだが、Mac OS 9.2.2上とMac OS X 10.1.5上では同じウインドウがこれだけ違って見えるのである。その原因の大半はMac OS XのFinder表示フォントが大きすぎることから生じている。別の言い方をすれば現状ではフォントサイズを小さくできないのだ。
またグリッド間隔もMac OS 9.nのウインドウを表示するには大きすぎる。下図右のMac OS Xの場合のアイコン表示はMac OS 9.nとほぼ同じ間隔で並んでいるように見えるが、整列させるととんでもない間延びした状態になってしまう。
アイコン表示の場合
Mac OS 9.2.2
Mac OS X 10.1.5
これだけフォントサイズが違えば同じに見えるはずがない。Mac OS 9.nのままの間隔だとMac OS Xでは「Office 2001」と「Filemaker」が重なってしまう
また「Appleエクストラ」と「ユーティリティ」のフォルダーアイコンがMac OS Xではのっぺらぼうになっているが、これは、Mac OS 9.nの場合にはFinderが特別に表示させているカスタムフォルダーアイコンだからで、Mac OS XではMac OS 9.nのFinderは動いていないからすっぴんのフォルダーアイコンになってしまうのだ。こう言うことはAppleがどうかすべき問題だろう。
リスト表示の場合
Mac OS 9.2.2
Mac OS X 10.1.5
両方とも名前の部分の幅を縮めてある。DefaultだとMac OS Xはやたらと幅を取る。S-JISとEUCの違いなのか漢字の並び順が違うのはご愛敬??
ファイル・ダイアログはもっと違和感がある。特にカラム表示は筆者には判りにくい。慣れるしかないのだがMac OS 9.nとMac OS Xを併用するとすれば、使いやすいMac OS 9.2.2の使用頻度が高くなるのは当然であるから、つまりMac OS Xにはいつまで経っても慣れないと言う悪循環になる。
しかしもっと遙かに大きな問題はプリントにある。
我が家のプリンターは一応はちゃんと認識されるが………
手持ちのプリンターはMac OS Xネイティブ環境で「プリントセンター」(Mac OS Xのプリント統合環境)からちゃんと認識されるし、実際にプリントも出来るのだが、動作が完全ではないのだ。具体的には……
EPSON PM-780Cについてはカラーマッチングなどは問題が無く、Mac OS 9.nと全く同じ出力結果が得られるが、用紙マージンなどが明らかにおかしい
肝心要の「四辺縁なし印刷」が出来ない
※Mac OS X用のプリンタードライバーには「四辺縁なし印刷」と言う選択枝そのものがない!
※これは多分、エプソンの怠慢だと思われる
更に困るのはMac OS X上のクラシック環境からの印刷である。
RICHO IMAGIO Color2800Fはセレクタから認識されない
クラシック環境上のJeditなどからプリントを試みると見事にJeditが落ちる
それを繰り返すとクラシック環境そのものが落ちる
EPSON PM-780CはIMAGIOでめげて実験すらしていない
Mac OS X(クラシック環境を含む)ではTCP/IP関係はまるっきり問題なく互換性が取れている。だからMac OS XネイティブなMS Internet Explorerとクラシック環境のEntourageの併用なども全く問題がない。しかしプリント=AppleTalkは互換性に問題があるようなのだ。この点が解決しないとプリント精度がシビアなAdobe PageMakerなどは全く使い物にならない。
この辺は実験する場合も時間が掛かるのでMac OS X 10.2(Jaguar)が来てからじっくりテストをするのが正解だろう。
幸いにして筆者はデザイナーではないので色々と試せるが、DTPなどに関してはまだ当分はMac OS 9.n環境で運用するしかないだろう。
それはさて置き、ややこしいのはMac OS Xである。Mac OS XはUNIXベースであり、Mac OS 9.nの感覚でDrag&Dropによるコピーをしても、ちゃんとしたバックアップは出来ないのだ。
画像やテキストなどのファイル単独ならDrag&Dropでコピーできるが、システムの設定など「環境を含めたバックアップ」は単純には行かないのである。
ではどうするかと言うと、専用ツールを使うのである。こう言う場合の定番は「Synchronize! Pro」であり、既にそのMac OS X版である「Synchronize! Pro X」が出ている。
設定は極めて簡単
バックアップ中の図。正確に言うとバックアップの前のファイルスキャン動作中
既に上図のように全部のバックアップを取ってみたが、従来のMac OS 9.n版の「Synchronize! Pro」と同じ感覚で丸ごと一式バクアップが出来た。
これで安心してMac OS X 10.1.5上のiTunes3でリッピングが出来る。
以上、「夏休み Mac OS X 実験室」の総括をすれば……
現時点のMac OS X 10.1.5でも互換性はかなり高い
プリントの問題を早く解決したい、解決して欲しい
Mac OS X 10.2(Jaguar)には期待できそうだ
1年後ぐらいに「1GHzデュアルプロセッサーの次世代PowerBook G4」でMac OS Xを快適至極に活用したい物だ♪