2005.12.23[金]掲載
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■ 蘊蓄&Tips@2005:FLET'S 光
Bフレッツユーザー専用サイト「FLET'S SQUARE」
前頁に書いた
ように、NTTと言うかOCN=NTTコミュニケーションと言うかからのDM攻勢に負けて【笑】Bフレッツ=FLET'S 光を申し込んだら思ったより遙かに早く工事日が指定され、あっと言う間に我が家も「光=100Mbps(ハイパーファミリー・タイプ)」になった。1987年7月にNIFTY SERVE(当時。現@nifty)に300bps【笑】で接続してパソコン通信を始めてから18年目で、その速度は規格・定格上で(電卓が正しければ)約34万倍になったわけである(「100×1024÷0.3」でおおよそ合っているはず)。
今回の「フレッツADSL」から「FLET'S 光」への変更は、とにかく「キャンペーン中で無料のオンパレードな価格」が要因だから、NTTに任せたのはいつも通りにいわゆる「壁まで」つまり「室内への引き込みまで」である。より正確に言えば、電話による音声通話の確認までであって、インターネット接続に関することから先は全て筆者の責任で行なうと言うもの。じゃないと余計な料金を取られるからである。
しかし、この「FLET'S 光」は機器が無茶苦茶ややこしい。と言うか、整理されていない。要するに、どう考えても「過渡的状況」なのである。何がどう過渡的かと言えば、それは下の二枚の写真を見れば判る。
回線終端装置。要するに「光信号」を「電気信号」に変換する装置。つまり壁から引っ張り出した光ファイバー・ケーブルをこの機器に直結するのである。NTTの工事区分はここまで。ここから先は筆者のように知識がある場合は自分でやれば余計な金が掛からない
左の箱は返却を待つADSLモデム。右端の金色が「ひかり電話対応機器(OKI 200KI)」。左隣の、まるっきり形状が同じで色だけ青いのが「IP電話対応ルーター(OKI V110)」。いかに過渡的な状況かと言うことである。こんなもの、一つにまとめられるだろう、普通。なお、二つの機器の「台座」を作って整然とレイアウトできるように半固定してあるが、それを見たNTTの工事の若い人から「完璧っすねぇ」と賞賛された【笑】
と言うわけで「壁 → 回線終端装置 → ひかり電話対応機器 → IP電話対応ルーター」となるのだ。しかも……
「壁」から「回線終端装置」は「光ファイバー」
「回線終端装置」から「ひかり電話対応機器」は「Ethernet」
「ひかり電話対応機器」から「IP電話対応ルーター」は「Ethernet」と「モジュラーケーブル」の両方
そして
「IP電話対応ルーター」から「モジュラーケーブル」で「電話機」へ
更に我が家の場合は
「IP電話対応ルーター」から「Ethernet」で「AirMac Extremeベースステーション」へ
そして「AirMac Extremeベースステーション」から無線LANでPowerBook G4 15"とiBookへ
……なわけで、こんなもの、筆者のような「ある意味、それ系の専門家」じゃなきゃ判るわけがないのだ。
しかも、ここから先が更にややこしい。と言うのは「フレッツADSL」にしろ「FLET'S 光」にしろ「インターネット接続のプロトコル」は「PPoE」になるわけだが、その設定はブロードバンド・ルーター(上の機器で言うと「IP電話対応ルーター=OKI V110」のファームウエアに直接書き込むのが本来の方法。こうすれば、ルーターに繋がった全ての端末はDHCP接続でインターネットに同時接続が出来るからである。
なので、我が家の場合で言えばPowerBook G4 15"を「IP電話対応ルーター」にEthernetで直結して設定をすることになるのだが、いきなり繋いでも「IP電話対応ルーター」は決して認識されない。何故ならば、この状態のネットワークにはルータの類(たぐい)が全部で三台(上の写真の金色と青色と、そしてAirMac Extremeベースステーション)が存在し、しかも、それぞれのネットワーク上のIPアドレスは(Defaultでは)全部、同じだからである。
そこで、一時的に「IP電話対応ルーター」と「ひかり電話対応機器」を繋いでいるEthernetを引っこ抜く。これで「IP電話対応ルーター」をブラウザーから認識できるので、認識させてから接続を元に戻し、PPoEなどの必要な設定を全て行なってしまう必要があるのだ。ちなみに、こんなことは「OCNから送られてきた分厚い資料」のどこにも書かれていない【苦笑】。
もう一つややこしいのが、このページの冒頭のスクリーンショットにある「FLET'S SQUARE」への接続。今現在、テレビCMで「ミッキーマウスに逢えるぅ♪」などと宣伝している、あれである。この「FLET'S SQUARE」はOCNユーザーだけが接続できるサービスである。つまりインターネットではない。接続はP2Pであり、構造上はある種のイントラネットのようなものである。なので、単純にURLを打ちこんでだけでは繋がらない。利用するためには「IP電話対応ルーター」の「ルーティング」を「マルチ・セッション」とし「接続2」の設定に「FLET'S SQUARE専用の接続設定」を書き込まなければいけないのだ。
ところが、このことは(馬鹿みたいな話だが)「IP電話対応ルーター」のマニュアルには書いてない。書いてあるのは「ひかり電話対応機器」の方のマニュアルである。さらに「フレッツ全体の接続マニュアル」には「『PPoEの設定』も『FLET'S SQUAREの設定』も、それぞれ全てパソコン上で行なうように書いてあるのだ。
何でこう言うことになるかというと……
フレッツと言う名前のサービスにADSLと光がある(更に既存のISDNもある)
ADSLと光ではルータ機器の構成が違う
ADSLの場合、従来の電話は同じ回線を使う。IP電話の設定は簡単
光の場合、メタル・ケーブルは全く使わないので、従来の電話は休止となり、全く別サービスの「ひかり電話」を使う。IP電話は(現時点では)別のルータを加える必要がある
NTT(OCN)としては早急に光に全面移行したい
しかし日本中の様々な住宅や事務所はデジタル回線とアナログ回線とISDNとADSLと光が混在している
結果、マニュアルは全方位外交的な内容になっている
以上の結果、光(ファイバー=FTTH)用の機器自体が過渡的
あるいは「FLET'S 光」一発解決専用機器がまだ存在しない
……なのだ。しかも、NTT(OCN)はMacintoshのことになると全く判らない【苦笑】。
セッティング完了の図。AirMacの位置もついでに右下に変更
まぁしかし、とにかく筆者の場合はNTTの工事業者が帰ってから小一時間ほどで全ての問題は解決し、無事、ADSLからFTTHに移行完了した。そこで早速の速度計測である。測定は複数のサイトで行なっている。なお「フレッツADSL」の計測データのスクリーンショットは勿論「FLET'S 光」になる前の週に事前に測定しておいたものである。
http://speed.rbbtoday.com/
フレッツADSLの計測結果その1。ADSLは上りが遅い
FLET'S 光の計測結果その1。比較すると下りが7倍ちょうど、上りが8倍弱
http://homepage2.nifty.com/oso/speedtest/
フレッツADSLの計測結果その2
FLET'S 光の計測結果その2。こちらの計測では、4.6倍
FLET'S 光の計測結果その3。こちらはBフレッツ専用
ほいでもって実感的な実行速度はどうかと言うと、まぁそんなに劇的に速くなると言うわけではない。ISDNからブロードバンドに移行した時点、つまり64Kbpsから2〜8Mbpsになった時点でE-Mailと普通のHTMLならもう充分な速度になっていたからである。だから計測結果にあるような2〜7倍の速度は実感できない。そもそも、Webの表示なんてものは相手サーバーの速度の方が影響が大きいし、日本国内やアメリカのサーバーは速いが欧州やアジアのものは(回線のインフラも含めて)目茶苦茶遅いというのはマニアの常識。但し、上りが遅いADSLと違ってFTTHは上下対称に近いから、FTPなどは実感できるほど速い。クルマとコンピュータと回線速度は速ければ速いほど良いというのが筆者のポリシーだから、とにかく、キャンペーンに乗じてFLET'S 光に変更したのは大成功というわけである。
補足:上記の速度測定は全てAirMac越しのものなので、Ethernet直結ならもっと速い。しかし体感的な差があるわけではない。なので当然、無線LANの圧倒的なスマートさを筆者は優先する。
なお、書くまでもないことだが、ひかり電話もIP電話も、もちろん、ちゃんと動作している。電話代は間違いなく安くなる。ひかり電話にもIP電話にも、今や長距離電話と言う概念は無い。時代はどんどん勝手に進む。追い掛けておかないと大損をこく【笑】。
蛇足:このページに出て来た様々な(専門)用語や単位(文中ではなるべくカギ括弧で括った)の殆どは、わずかここ数年で出現したものである。しかも、どれもこれも本当に専門用語だから本来は我々一般ユーザーが理解する必要のないものの筈である。ところが、テレビの世界の「BSデジタル放送(への全面移行)」や「次世代DVD」の規格名(「Blu-ray Disc」vs.「HD DVD」)、あるいは電話の世界の「IP電話」と同じく、それらの(このページでは主としてインターネットの)用語が一般生活と密接に関係するようになってしまった。街頭やファミレスで耳に入る他人の会話に普通に「アドレス」「ドメイン」「IP」「URL」「MP3」「Yahoo」などの単語が混じる時代になってしまった。こうなると、ある世代以上の人は絶対に話について行けない。また、用語を使っている世代も、用語の内容を何処まで判ってるかは判らない。しかし意味が通じればそれで良いとも言える。普及の速度が速すぎるのだからどうしようもないのだ。それにしても、文中で文句を付けたように「FLET'S 光」にした場合の機器構成は余りにも過渡的に過ぎるし、Macintoshへの対応は悪すぎる。実際にはWindowsより遙かに簡単に接続できるのに、そのことをNTTがまるで判っていないし、そもそも「簡単接続ツール」がWindows版しかないのでユーザーに誤解を与えるのだ。Macintosh(但しMac OS X環境)の場合、そんなツールは不要なのである。ツール(接続設定をするための専用Application)なんか無くたってあっさりとインターネットに繋がるのである。