2007.06.28[木]
SG
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335
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Strato
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GM8R
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Oldies
■ Ornetts GM8R(GLD) その15 ナットの調整
取り外したオリジナルの牛骨ナット。見るからに溝が深い
前にも書いたようにGM8Rのネックはデリケートというか柔(やわ)と言うか、しょっちゅう状態が変わる。
Les Paul
は40年間、全然、ネックの状態が変わらないのと大違いである。
なので、弦高を目一杯下げていると、ある日突然、ハイポジションがビビリ気味になったりすることがある。なので、GM8Rについては「こう言うもんだ」と納得して、結構、頻繁にネックや弦高の調整をする。なので、それにも慣れてしまった。
ところがある日の朝。ふとGM8Rを手に取ってチューニングのために各弦の12フレットのハーモニクスを出したら4弦(D音)が鳴らない。開放弦を弾くと思いっ切りビビっている。つまり4弦が1フレットと干渉しているのだ。こんなことは初めて。しかも、その日はバンドの練習の日。をいをい。仕方がないから4弦の溝に爪楊枝の尖った方を短く切ったものを挟んで応急処置をして練習を済ませた。
その日の夜。バンドの練習から帰ってから件のナット部分を良ぉ〜く観察してみる。するとまず、結構、溝切りが深いと言うことが判った(今までそんなに真剣にナットをチェックしたことはない)。と言うことはつまり、他の弦も結構、低め(各弦と1フレットの距離がかなり近い設計)と言うことなのである。となると直し方は二つ。ひとつは新品のナットを買ってきて自分で溝を切り直す方法。もうひとつはナットそのものの高さを調整する方法。前者は金も掛かるし手間も掛かるし、溝切り専用の精密ヤスリも必要。だから単純に後者を選択。
そして手持ちの「DVDでわかるギター・メインテナンス(寺田仁・著:リットーミュージック刊)」の該当箇所を見ると(読むと)、ナットの裏に貼り付けるのは#1000とかのサンドペーパーがよいと書いてある。なるほど。薄くて均一で丈夫だからだろう。弦を外さないで作業する方法も書いてある。と言うわけで「あんちょこ」の通りに作業を開始する(珍しく)素直な筆者【苦笑】。
弦を緩めて後ろで止めると
こうなるのである
{あんちょこの方法とは異なるのだが)カッターの刃を指板とナットの境目に当てる。角度はほぼ直角だが、少し指板側に倒す。そしてカッターの刃の背を金槌でごく軽く叩けばフレットは簡単に外れるのだ(これは前に何回か別のギターでやったことがある作業である)
ナットが取れた状態。この後、断面の接着剤などを清掃
フレットの底面にジャストサイズの#1000のサンドペーパーを貼り付ける
ここまでの(写真の通りの)作業が終わったらナットを填め込むわけだが、この時点ではまだ接着しない。これもマニュアル本の通り。まずは状態を確認するのである。マニュアル本によれば、そのまま24時間放置とある。プロの常識として、状態の変化もチェックするのであろう。
付け替え完了
ネック裏のスティフナーを外して弦を元の状態に戻してチューニング。結果はバッチリ。数日後、次ページの作業をした後で弦を張り替えたときに接着をしてナットの調整は簡単に済んだ。しかし、次ページの作業は大変であった【笑】。