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久しぶりの大改造♪ まるで様変わり(^^)v
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前から見るとチェリーサンバーストとブラック系パーツのコンビネーション、後ろから見ると大胆(無謀??)な切削加工により演奏性を向上したネックエンドが改造の目玉♪
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どうせネック(の裏側のジョイント部)を削っちゃったのであるから、ついでというか流れというか勢いというか、前からやろうやろうと思っていた大改造をやらかしてしまった。それは超・久々のピックアップの交換と、カスタム配線によるサウンド・バリエーションの追加である。 |
話を30数年前=このLes Paulを入手した頃に戻す【苦笑】。その頃、ギターアンプは今のようには歪んでくれなかった。エフェクターは今のようにデジタルだ何だかんだという時代ではなかった(そんなものはどこにも無かった)。
よって、世界中の(エレキ)ギタリスト(あるいはロック系ギタリスト)は必死になってピックアップの出力増大に走った。それに呼応して商品化されたのがDiMarzioのSuper Distortionである。このSuper Distortionは2004年現在でも世界有数の高出力ピックアップであり、当然のように筆者はそれを自分のLes Paulに取り付け、以来30数年愛用してきたわけである。 |
ところが。30数年の歳月はギターとその周辺機器の環境を全く変えてしまった。早い話が、今や基本的に高出力ピックアップは流行らないのである。これは一体、どう言う事か? |
そもそも、最近はどう考えたってStratocaster全盛時代であるといえる。どんなジャンルの音楽であっても、ギタリストが使っているギターは大抵はStratocaster(ないし、その亜流モデル)である。1970年代に殆どのロックバンドのリードギタリストがLes Paul派だらけだったのとは大違いなのだ。
そして、このことには明確な理由があるのである。 |
ロックギターの30年間の変遷史を書く気はないので目茶苦茶省略すればこういうことになる。
- LED ZEPPELINを中心とした1970年代のロック・ギターの周辺機器環境(主としてアンプとエフェクター)では、Gibson Les Paul+高出力ハムバッカーによるヘビーなオーバードライブサウンドこそが時代の求めるサウンドであった
- ところが、ブギーアンプ登場以降アンプを歪ませるのにピックアップの出力は関係なくなった。つまりマスターボリューム付き、あるいは複数のゲイン・ボリューム付きのアンプがあれば、アンプの入力感度=歪みのコントロールはどうにでもなるのである
- デジタル機器の登場により大出力&ハイインピーダンスのピックアップは逆に百害あって一利無しになっちゃった
- かくてEMGに代表されるアクティブ・ピックアップ(プリアンプ付き。そしてローインピーダンス)、あるいはStratocasterのようなワイドレンジのシングルコイル・ピックアップ全盛時代になった
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だから、最近のギター雑誌を見ると「ノイズレス・シングルコイル・ピックアップ特集」ってことになるのである。ストラトのオリジナルのシングルコイル・ピックアップは確かにワイドレンジ=つまり、高域がLes Paulなどより遙かに上まで延びており(原理的に当たり前なのであって、音の良し悪しやピックアップの優劣とかの話ではない)しかも出力が低いから今どきのデジタル系エフェクターと相性がよい。出力が低いと言うことは入力段でサチる(=電気的に飽和してしまう)ことがないと言うことを意味し、高域が伸びていると言うことはデジタル・ディレイやデジタル・リバーブ、あるいはステレオ・デジタル・コーラスなどの掛かりが良いのである(と言うことはG3ライブのエリック・ジョンソンの「Manhattan」の演奏を高級ヘッドフォンで聞けば良ぉ〜く判る)。
そしてさらに、そのシングルコイル・ピックアップの構造を工夫してノイズレスにすれば今の時代にマッチした理想的なピックアップとなると言うわけだ。 |
と言う状況と、筆者のDiMarzio Super Distortionを比べると、それはつまり前述の「百害あって一利無し状態」だったのだ(T_T)
実際、最近愛用しているデジタル・マルチ・エフェクター=ZOOM 707II GUITARはもろに入力段のサチり現象が起き、ZOOMに文句を言って多少はカスタマイズして貰った(入力段の抵抗値を大きくして貰った)がそれでもサチることに変わりはないという状態。 |
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以上がDiMarzio Super Distortionを別のピックアップに交換しようかなぁ……と発想した第一の理由。 |
第二の理由はDiMarzio Super Distortionは最大の出力を得ることが設計コンセプトだから、もともと、中・低域にバランスが寄っていると言うこと。出力がでかいからデジタル機器と相性が悪いだけでなく、周波数特性的にもハムバッカーの中でも特に高域が丸まっている(別の言い方をすると中域が張り出ている)タイプだから今どきの周辺機器には不向きなのだ。
この問題は特にネック側のピックアップに顕著で、ウーマントーンやサンタナには良いが、ちょっとボリュームを絞って(ウェストコースト・ライクな)カラッとしたカッティングをしようと思ってもサウンドが丸まっちゃうからまるで駄目なのである。
この問題はテレキャスターで有名な「ボリューム回路に0.01μFのコンデンサーを噛ませてボリュームを絞れば絞るほど音が固くなる改造」で逃げていたが、それにも限度がある。 |
第三の理由はEMGの新製品の登場である。EMGと言えばアクティブ・ピックアップのオリジネータだが、そのEMGが最近になって何故かパッシブタイプのピックアップを出したわけである。EMGはピックアップという、ある意味で非常に原始的な構造の部品を近代科学の力で画期的に進化させたメーカーである。そのEMGが今頃になってわざわざ発売するパッシブ・タイプが悪かろう筈がない……と言うのが(実はブランド志向の)筆者の発想。 |
第四の理由は実は昔からEMGのピックアップのデザインだけは大好きだったからである。しかし筆者はアクティブ・タイプのピックアップは大嫌い。ところがEMGのパッシブ・タイプのデザインは今までのアクティブ・タイプと全く同じ♪ |
そこでEMGの型録を仔細に調べると実に色々なバリエーションが存在するのだが、その中に「出力は低め、高域特性良好」ってのがある。それこそが正に筆者が求める交換用のピックアップのサウンドとスペックの筈である。
かくて吉祥寺ロックインで購入したのが「EMG HZ HUMBUCKING H2」である。
そもそも昔から評判の高いGibsonの「P.A.F.」は経年変化で磁力が落ちていることが良い音の理由のひとつだったりする【笑】。とにかくもうピックアップの出力のことは忘れよう【苦笑】。 |
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下がネック用。上がブリッジ用。ペアで購入するのである
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と言うわけで今までのDiMarzio Super DistortionとEMG HZ H2を入れ替えるわけだが、どうせやるならただ入れ替えるだけじゃつまらない。そこで次のようなことになった。
- EMGのデザインに合わせてエスカッション(ピックアップを固定するためのプラスチック製の枠部品)をブラックにする
- せっかくの「今どきは当然の4芯シールド構造」を活かしたオリジナル配線の採用
である。 |
ほいでもって、今や常識の「4芯シールド」だが、一応は解説しておくと、ハムバッカー=デュアル・コイル・ピックアップ(上のパッケージ写真にも「Dual Coil」と明記してある)は、その名の通り、二つのシングルコイル・ピックアップを逆相・直列に配線してあるからハムバッカーなのである。逆相(直列の二つのシングル・コイルのコイルの向きが逆)だから外部ノイズを打ち消す=だからハム・バッキングと呼ばれるわけだが、最近のハムバッカーは他の配線バリエーションが簡単に出来るように二つのコイルからの配線を別々に引きだし、外で直列にしてあるのだ。だから、それぞれのコイルの芯線が二本ずつだから「4芯シールド」となるわけである(実際にはこれにピックアップカバーまたはシャーシのアース線があるので、ケーブル数そのものは全部で5本)。
ちなみに筆者のDiMarzio Super Distortionは最初期モデルなので2芯シールド配線。その後、DiMarzio Dual Soundと言う4芯シールドモデル(それ以外は全く中身は同じ)が出て、今は後者に収斂されて、名前はDiMarzio Super Distortionの方が残っている。ちなみにちなみにアル・ディメオラのデビューアルバムのジャケットに映っているのがDiMarzio Super Distortionそのものである。 |
さて。4芯シールドのデュアル・コイル・ピックアップは色々な配線が出来る。ざっと挙げると……
- 俗に言う「タップ」:一方のシングルコイルだけを使う
- 俗に言う「ハーフトーン」:別のピックアップとの組合せによる逆相接続。つまり意図的なアウトフェイズ
- デュアル・サウンド:DiMarzio社が推奨する接続方法(後述)
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タップはシングルコイルだからストラトの音になるかというと、ボディが違うし、コイルだって基本的な設計が違うから似て非なる音になる。しかも純粋なシングル・コイルだから間違いなくノイズ(=蛍光灯などからの誘導ノイズ)が増える。
ハーフトーンはレイドバック後のクラプトンをコピーしたい人向け。筆者には無関係。
すると一番使い道がありそうなのは「デュアル・サウンド」である。 |
そのDiMarzio社ご推奨の「Dual Sounds」と言うのは、別のミニ・スイッチを使って、デュアル・コイルの接続をノーマル(二つのコイルをシリーズ=直列=接続)とパラレル(二つのコイルを並列接続)の二通りに切り換えることが出来るようにする配線方法。こうすると、パラレルにした場合はやや高域が上がり低域が下がり出力が少し下がる。しかもタップと違ってノイズは殆ど増えないというアイデア回路。
つまり、ノーマル接続のいかにもLes Paulらしい図太いサウンドと、よりカラッとシャキッと現代的な(ある意味でFenderライクな)サウンドを選べると言うこと。
但し、そのためには「ON-ONの6Pスイッチ」と言うのを増設し、やや複雑な配線をする必要がある。しかし別に難しいものではないので実体配線図(DiMarzioのHomePageにカラーの物凄く判りやすいPDFファイルがある)の意味が判り、半田ゴテが使えれば誰でも出来ることではある。
なお、配線をいじくってデュアル・サウンドにするのは筆者の場合はネック側だけ。何故ならブリッジ側はLes Paulならではのサウンドのままがベストであり、他のサウンド・バリエーションは不要=筆者的に使う機会がないからである。サウンド・バリエーションというモノは使うから意味があるので、使わないバリエーションを増やしても何の意味もないのだ。
と言うわけで、作業開始♪ |
- まずは今までのDiMarzio Super Distortionを外す。具体的にはLes Paulの表側からピックアップを外し、裏側の回路カバーを外して半田を溶かして不要な配線を外すわけだ
- 筆者の場合、ブリッジ側のピックアップのトーンは絶対に使わないので以前から配線を外してあるのだが、上の「ON-ONの6Pスイッチ」を取り付けるためについに、その配線をしていないブリッジ側のトーン・ポットを完全に取り外すことにした。そうすれば余計な穴を空けなくて済むからである
(外観を気にする場合はスイッチ付きのポットを使うと言う手もあることにはあるが、筆者の場合は外観が変わるのは気にならない)
- EMGは配線がコネクターによる取り外し式なので、先にEMGの2本のケーブルだけをLes Paulの内部のザグりに通しておく
- ブリッジ側のピックアップはストレートに配線するので先ずこちらを処理
- 前述のようにトーン・ポットの配線は外してあるので再配線は超簡単
- そしてトーン・ポットそのものを外す
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EMGピックアップのアウトプット(4芯シールド+アース)をボディ内部を通して引っ張り出し、使わないブリッジ側のトーン・ポットを外した状態。この時点ではEMGからの配線は工場出荷状態の「2芯シールド」のままである |
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ブリッジ側だけ完成した状態。これから、ややこしいデュアル・サウンズの配線を始める。既にブリッジ側のトーン・ポットは外してあるのが判る(写真・右上)。左上の小皿の中のスカイブルーに白い点々のあるのが「ON-ON, 6Pミニスイッチ」。ご覧のサイズなので慣れていないと配線と半田がやりづらいのは確か |
ここからがややこしい「デュアル・サウンド配線」である。
- まずはEMGから引きだしたネック側の配線の先の結線を(半田で固めてあるので溶かして)外す
- 予め用意した「ON-ON, 6P(「6端子、スイッチは中間点がない両側がオン」と言う意味。大きな楽器屋なら必ず置いてある)」に、DiMarzioのHomePageの実体配線図通りにEMGからの配線を結線し半田で固める
- 早速、接続テスト(この時点ではまだ「ON-ON, 6P」スイッチはLes Paulには取り付けない)。こういう場合は弦を張っていないわけだから、ピックアップのポールピースをドライバーなどの金属の先端でコンコンと叩けばよい。もちろんギターの出力はアンプやエフェクターに接続する必要がある。もちろん、テスターを使うと言う手もあるが筆者は純粋文化系工作大好き人間なのでテスターなんてモノは持っていないし使い方も判らない
- この時点では基本的な結線だけのチェックなのでOK
- なので他の配線を済ませ、ピックアップなども取り付けてしまう
- 次に弦を張る
- 再度、テスト
- 結果は見事にアウトフェイズ。どう言う事かというと、ネック側のピックアップだけについては、ちゃんとデュアル・サウンドになるのだが、Les Paulのもともとのピックアップ切り換えスイッチをセンター(ネック側のピックアップとブリッジ側のピックアップが両方オンになる状態)にするとアウトフェイズ=逆相になっちゃうと言うこと。だからと言って慌てる必要は全く無い
- 何故ならDiMarzioの実体配線図(PDF)には「そうなった場合はこうしなさい」と言う記述がちゃんとあるから、一発でうまく行くかどうかは確率50%の世界なのだ(もちろん、事前にテスターでチェックすればそう言うことはない)。と言うわけで慌てず騒がず「ON-ONの6Pスイッチ」のアウトプットを逆にして再度、接続テスト
- 今度はばっちりOK♪
(アウトフェイズかどうかは弦を張らないとはっきり判らないからこういう手順になるのである)
- かくして、安心して「ON-ON, 6Pスイッチ」をボディに固定
- 念の為に絶縁が必要な部分をいつもの3Mのプラスティック・テープで覆う
- 以上で配線関係は完成である
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完成した筆者オリジナルの配線状態。もしも外観を変えたくないのなら、トーン・ポットをスイッチ付きにすればいいが、ブリッジ側のトーンは絶対に使わないし、外観が変わるのは新鮮でよろしいというのが筆者の考え方。配線の詳細は下図参照 |
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- EMGブリッジ側ピックアップ・アウトプット(ノーマル2芯配線)
- ブリッジ側・ボリューム
- EMGネック側ピックアップ・アウトプット(4芯配線)
- デュアル・サウンド・スイッチ(6P, ON-ON)
- ネック側トーン
- ネック側トーン回路用コンデンサー
- ネック側ハイパスフィルター用コンデンサー
- ネック側ボリューム
※ 緑字はオリジナルから交換 or 増設したパーツ
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以上の手順の他にピックガードの取り付け、その他色々を済ませて完成。オリジナルからいじっている部分を過去のモノも含めて全部、箇条書きにすると下記の通り多岐に渡るのだ。筆者は自分の道具は徹底的にいじるのである。(赤字は今回の改造)
- ピックアップ交換(2度目)
- ディアルサウンド配線&スイッチ増設(ネック側ピックアップ回路)
- ハイ・パス・コンデンサー追加(ネック側ピックアップ回路)
- トーン・ポット除去(ブリッジ側ピックアップ回路)
- エスカッション交換(2度目)
(前回はフラットなエスカッションを自分で削って合わせたのだが、国産の安価なR付きのエスカッションを買ってきたらぴったしマッチした)
- ピックガード交換(3度目? 4度目?)
- テールピースをブラッククロームのGibson純正品に交換
(本当はブリッジも交換するためのパーツを購入していたのだが、ボディに打ちこむダボごと取り替える必要があるので今回は断念。この作業は治具がないと素人には無理)
- ピックアップセレクターのノブを真鍮製に交換
(オリジナルのプラスティック製は経年変化で100%、割れる)
- ネックジョイント部の切削加工&ペインティング(前頁参照)
- アウトプット・ジャック・プレートを金属製に交換
(これもオリジナルのプラスティック製は経年変化で割れることがある)
- ネック側のストラップピンの位置の移動
- エンドピンをシェクターと同じく2個に増設
(こうするとギターアンプなどに立て掛けた時の安定度がまるで違う)
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ばっちし完成♪ 完全オリジナル仕様の筆者だけのLes Paulであるぞと(^^)v |
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写真で見る限りは1968年製で36年間使っているとは思えないぐらい結構、綺麗。実物はそれなりに傷だらけではあるが(^^;; この写真ではダブルにしたエンドピンとアウトプットジャックの金属プレートが確認出来る |
かくて大改造完成。サウンドなどはこれからのチェックである。以下に今回の改造状態と、ノーマルのLes Paulのピックアップ切り換えの組合せをまとめてみた。えんじ色の部分が今回の改造によって追加されたバリエーションである。
Fender Stratocasterとは違う意味で5ポジションになったわけだ。
なお、サウンドに関する詳しいレポートは今後、気が向いたらこのページに追記……の予定は未定にして決定にあらず【苦笑】。 |
Gibson Les Paul dpSpecial
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ネック側ピックアップ
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ブリッジ側ピックアップ
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シリーズ
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パラレル
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(ノーマル=シリーズ)
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1.
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on
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off
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2.
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on
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off
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3.
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on
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on
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4.
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on
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on
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5.
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off
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on
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Gibson Les Paul 標準状態(参考)
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ネック側ピックアップ
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ブリッジ側ピックアップ
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1.
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on
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off
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2.
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on
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on
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3.
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off
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on
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筆者オリジナルの弦の張り方。こうすると筆者的には弦のテンションが揃うのである。右手前がデュアル・サウンドの切り換えスイッチ。上向き(写真の向きで左)でノーマルのデュアル・コイル。下向き(写真の向きで右)でパラレル接続になる |
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