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スタジオで実際に音出ししての検証作業♪ なお、書くまでもないが、ライブステージでの実際のセッティング状態ではフットボードの向きはギターアンプに対して前後が逆になる
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組み上げたdpGuitarSystem2最終版(←ほんとか?)をワイアレス・システムにするかワイアードにするかを決定すべく、スタジオに2時間ほど籠もって検証実験をやらかした。スタジオは用賀のPLUS ONE STUDIO。うちからクルマで30分ぐらい。駐車場完備なのが気に入っているのだ。 |
で、当日借りたPLUS ONE STUDIOの狭い方のブースのギターアンプは(日によって入れ替わるが、この日は幸いにして)最も標準的なローランドJC-120とFender Twin Amp。なので当然のようにステレオ接続。その前に、JC-120の上面のキャリー・ハンドルを逃げる「足」をセットし、その上にベースボードを載せる。 |
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その上にベースボードを載せる。これでガタガタしたり傾いたりしない。このベースボードは本日の検証のために持ち込んだ「dpBassSystem用のワイアレス仕様」のもの
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ベースボードにメインボードを勘合させる。この写真はアンプなどへの配線前
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それからフットボード、そして2台のギターアンプとの接続をする。足元は極めてシンプル、ギターアンプの上にサウンドのコントロール系と空間系とチューナーと言うレイアウトは極めて合理的であることを改めて確認。 |
さて、セッティングが完了したので、まずはワイアレスでの音出しである。当然、ギターアンプはクリーンサウンドにセッティングする。つまりJC-120は二つある入力の「HI(高感度)」ではなく「LO(低感度)」側に入力し、ボリュームはせいぜい2弱ぐらい(時計で言えば9時ぐらい)、トレブル=10時、ミドル=3時、ベース=10時。REVERB=2時ぐらいにセット。これでJC-120独特の「いかにもトランジスタ・アンプですなカキンコキン・サウンド【苦笑】」になる。Fender Twin Ampは一番左のボリュームが目盛りで3弱、トレブル=フルテン、ミドル=フルテン、ベース=目盛りで2ぐらい(Fender Twin Ampのすぐ後ろが壁だったので低音を下げないとブーミーになるから)、REVERB=2ぐらい。Fender Twin Ampのその他の沢山のボリュームやゲインは全てゼロ※。これで典型的なFender系クリーン・サウンドになる。 |
※蛇足:Fender Twin Ampは今どきのアンプなので複数のボリューム or ゲインの設定により殆どディストーションと言ってもいいくらいに歪ませることも可能だが、現在の筆者の方法論は「歪みはクランチもオーバードライブもエフェクター=dpGuitarSystem2で作る」と言うものなので、一番左のボリュームしか操作しない。これなら大昔のマスター・ボリュームの付いていないFenderアンプと同じ動作になる |
この状態で、まずはKORG DT-7でチューニングを済ませてから、EBS MultiCompをONにする。前から書いているように、利得=ゼロ(二つしかないつまみを左一杯に廻しきった状態)でも音が太くなるのだが、既にベストだと判っているCOMP/LIMIT=10時、GAIN=10時ぐらいにセット。動作切り替えスイッチは「TUBESIM=チューブ・シミュレータ」。続いてXotic RC-BoosterをONにし(これでまた少し音が太くなる)ゲインを10時ぐらいにするとギター側がフルテンの場合に気持ちの良いクランチ・トーンが得られるようになる。この状態でギター側のボリュームを8以下に下げれば完全なクリーン・トーンになる(ようにXotic RC-Boosterのゲインを調整する)。これ、まさに思っていたとおりのサウンド。だがしかし。ワイアレスのせいなのか、明らかに高域が「Thin」つまり薄い=細い。特に1、2弦でチリチリした感じが付きまとう。これは以前にデジタル・マルチの状態でテストしたときと全く同じ。 |
しかし、その問題はとりあえず置いといて、先に空間系のセッティングを済ませてしまう。なので、まずBOSS CH-1 SuperCHORUSをONにして、E.LEVEL=フルテン、EQ=12時、RATE=11時ぐらい、DEPTH=フルテンにセット。流石に、これだと、幾ら自然に聴こえるはずのステレオ接続であるとは言え、常時ONではコーラス効果が強すぎるので、DEPTHを1時ぐらいまで下げる。とにかく、これでOK。続いてBOSS DD-6 Digital DelayをON。E.LEVEL=8〜9時(かなり微妙)、FEEDBACKは戻りが3回弱ぐらいの感じ(これまたとても微妙)、ディレイタイムは400msにセット。とてもいい感じ。 |
但し、今回はブースが狭いので2台のギターアンプを離して置けない(やろうと思えば出来るが面倒な)のでステレオ感はそんなに強くはない。が、まぁそれはいい(逆に2台のギターアンプを目一杯、離せばBOSS CH-1 SuperCHORUSのDEPTH=フルテンが最適値の筈)。そんなことより、次はフットボードのセッティング。つまりXotic AC-BoosterをONにしてオーバー・ドライブ・サウンドをチェックである。良いことは良い。しかしイマイチ、ハイポジションの音の伸びが足りないし、明らかに線が細い感じ。気になるのはやはりSamson AirLineによる高域の劣化なのである。ここまではっきりしているなら仕方がない。ワイアレスを諦めて、GM8R → EBS MultiCompをシールド・ケーブルで繋ぎ直す。なお、こう言うときはKORG DT-7のMUTEスイッチを押すだけで無音状態になるからケーブルなどの抜き差しはそれだけで雑音無しで出来るのは超便利(これは現場でも使えるノウ・ハウ)。 |
そして繋ぎ直してKORG DT-7のMUTEを解除して、一発音を出したその瞬間、我ながら呆れるほどにサウンドが変わった。まるで別物。音の張り、艶、高域の伸び、音の太さ、全てが違う。同じ音量でもワイアレスの場合はハイポジションの音の伸びがイマイチなのが見事に解消してサステインもバッチリ。サウンドのグレードが違うと言えばよいのか? とにかくまるで違う。 |
かくして極めて明瞭・明確・あからさまに結論が出た。やっぱりエレキギターはワイアードじゃなくちゃ駄目である【きっぱり】。要するに(前にも書いたが)実売=30,000円前後のギター用ワイアレス・システムに過大な期待をしては駄目と言うこと。プロが使うワイアレスは最低でも10万円台、高い物は20万円以上する。こう言うものなら高域の劣化もない(極めて少ない)のだろうが、そんなことに掛ける金など無いアマチュア=筆者だ=は、素直にシールド・ケーブルを使えばよいのだ※。 |
※低価格ワイアレスの是非:と言うわけでSamson AirLineは(Thinなサウンドを許容できるなら別だが)ギターには使えない。しかしベースには使える。勿論、ワイアードの場合と較べれば「音の腰」みたいなものがかなり損なわれることは確認済みではある。しかし、ギターで使う場合ほどの差はない。なので筆者はベースについてはワイアレスの利便性を取る。但しSamson AirLineをdpBassSystemで使う最大の理由は「買っちゃったんだから使わないとモッタイナイ」からである【苦笑】。要するに「サウンド優先」ならワイアレスなんて有り得ないのだ |
なお、これまた前から書いているが、dpGuitarSystem2最終型の場合、ギターからのシールドはギターアンプの上にセットしたメインボード(のEBS MultiComp)に繋ぐ。つまり、ギターからのシールドは筆者の後ろに伸びるので取り回しが良い。これ重要※。 |
※そうではなくて足元にあるエフェクターだけをワイアードで使う場合は、ギターからのシールド・ケーブルは当然、そこに繋ぐわけだから、ケーブルがギタリストより前に伸びるという困った状態になる。こう言う場合は仕方がないから、そのシールドを一端、ギタリストの後ろに廻し、どこか最低一カ所をガムテープなどで止めて、そこから床を(ギタリストの邪魔にならないように)這わせるとかしないと足捌きの邪魔になるのだ |
とにかく、Samson AirLineをもうワンセット、買わなくて良くはなったが、片側がL字型のシールドがもう一本必要になったので、これは買わなくっちゃであるが※、新たな出費はそれだけで済むから良しとしよう。もしもSamson AirLineで行くことになったらサウンドハウスで27,500円が飛ぶところだったのだから。また、散々工夫した結果、dpGuitarSystem2とdpBassSystemそれぞれを別々のバッグにちゃんと収納できることも確認した。これにて諸問題は一挙に解決である。ちゃんちゃん♪ |
※フットボードから戻ってメインボード上のBOSS CH-1 SuperCHORUSに接続するためのケーブル。BOSS CH-1 SuperCHORUSとXotic RC-Boosterの間隔の関係から、L字型じゃないと差し込めないのだ(下図参照) |
ワイアード版・実体配線図
なおなお、丸々2時間、スタジオに籠もって色々と音出しをした結果の雑感を筆者の備忘録代わりに箇条書きにしておこう。 |
- ギターとギターアンプの間に全部で7台の機器と10本のシールドケーブル介在しているにも関わらずゲイン落ち、ハイ落ちが殆ど感じられないのは◎
- 同じく、驚くほどにノイズが少ないのでノイズ・サプレッサーの必要を全く感じないのも◎
- KORG DT-7の液晶式インジケータは物凄くチューニングがしやすいと言うことを再確認。BOSSの指針式に較べて13個のLED(センター+左右に6個ずつ)によるチューニングはとにかく分かり易いのである(照明の暗いステージ上でも見易いことは以前に六本木ケントスで確認済み)
- しかもセンターのLEDはジャストになると赤から緑に色が変わる。これでばっちり視認できるというわけ
- その上、MUTEスイッチ一発で無音に出来る。このMUTEスイッチはチューニング時だけでなく、演奏の前後などに一発でサウンドをOFFに出来るので何かと便利である
- EBS MultiCompは非常に素晴らしいコンプレッサーであるとあらためて確認。本来はベース用として売られているがギター用としても全く問題ない
- とにかく繋ぐだけで音が太くなるし(これが嫌な人は駄目)ゲインと動作切り替え(TUBESIM ⇔ MULTI ⇔ NORMAL※)で良い意味でのクランチーな音作りがEBS MultiCompだけである程度は出来てしまう
※筆者の好みはTUBESIM=名前の通り真空管式コンプレッサーのシミュレーション。気持ち、歪み気味になる。ロック系ギタリストに最適。dpBassSystemの方では一番自然なMULTIにしている(が、Creamとかを演る場合はTUBESIM)
- EBS MultiCompでもうひとつ重要な点はコンプレッサーの効き具合を調整するCOMP/LIMITつまみ。これが時計で2時ぐらいの位置までなら、ちゃんとギター側のボリュームが効き、しかも、ちゃんと自然なコンプレッション効果(サステインよりもリミッター的な動作の方。つまりカッティングなどの音の粒を揃える効果)があること。筆者がこれまで試した他のコンプレッサーはONにしたら最後、事実上、ギター側のボリュームは役に立たなくなるのと大違い(なので、コンプレッサーを強めに掛ける場合は普通はボリュームペダル必須となる)
※但しEBS MultiCompを使う限りはMXRダイナコンプのようなパコパコペキーンなサウンドは出せないので、それが欲しい人は買わないこと
- Xotic RC-Boosterは事実上のプリアンプとして使えることを再確認。ギター直結の場合にはカキンコキンの音しか出ないJC-120で、ちゃんとクランチーなギターサウンドを鳴らすことが出来る
- また、ステレオ接続した2台のギターアンプの微妙なサウンド調整は(予め2台のギターアンプを、それぞれ、ちゃんとしたクリーンサウンドにしてさえあれば)Xotic RC-Boosterだけで一緒にまとめて出来ちゃうことが操作上、重要
- Xotic AC-Boosterは「ギンギンのヘビメタ」あるいは「もろメタル」には興味がない筆者としては充分すぎるほどのゲイン調整幅があることを確認。つまり、筆者としては「もっと歪んで欲しい」なんてことはないと言うこと
- なのでXotic AC-Boosterのゲインは最大でも11時ぐらいで充分(先にXotic RC-Boosterでクランチ気味にしてあると言うのも勿論、ある)
- Xotic RC-BoosterとXotic AC-Boosterは同じメーカーだから相性がよい。その結果、クリーン(クランチ)とオーバードライブを曲の中で頻繁に切り替えて使うような場合に、クリーン(クランチ)がしょぼく聴こえるとか、その逆にオーバードライブが腰砕けになるとか引っ込むとか、そう言う事がない(2台のZOOM PD-01 PowerDriveを使っていたときは、その妥協点が見出せなかった)
- BOSS CH-1 SuperCHORUSによるステレオ接続はとにかく自然で宜しい
- 思いっ切りコーラス掛かってますよサウンド(代表例はエリック・ジョンソン)を狙わない限りは浅めに掛けて常時ONでOKなことを再確認
- もしも「思いっ切りコーラス掛かってますサウンド」が必要な曲を演奏しなければならない場合は、その曲の始まる前に後ろを振り返ってBOSS CH-1 SuperCHORUSのDEPTHをフルテンにすればいいだけのこと
- BOSS CH-1 SuperCHORUSを自然なステレオ効果にセットしている場合は、そのままXotic AC-BoosterをONにしてオーバードライブ・サウンドにしても、あるいはソロ・パートを弾いても違和感は全く無いことも確認
- BOSS DD-6 Digital Delayは名前の通りデジタルなので音質劣化の無いのが良い(それが駄目な人には全く駄目な種類のディレイでもある)
- BOSS DD-6 Digital Delayも控えめに常時ONなのだが、ソロのところでギターのボリュームを上げたり、ブースターをONにするとDD-6の入力が限界近くまで上がる関係からディレイの効果が思いっ切り強調されるので、このままの接続で大正解(DD-6のセッティングはそのままなのに、まるでディレイ・レベルを上げたのと同じようなことになるのだ)
- dpGuitarSystem2の全ての機器についての正しいセッティングを済ませた結果、ギター=GM8Rのボリュームの効きが非常に良くなった。つまり手元だけでかなりの音量差をコントロールできるようになった
- この結果、バッキングとソロの切換えはクリーン/クランチ、オーバードライブのいずれの場合も大抵はボリューム操作またはピックアップ切り替えだけ※で済むようになった
※GM8Rの電気系はGibson系と同じなので、例えばネック側のピックアップを6〜8ぐらいにしてバッキングしていて、フルテンのブリッジ側ピックアップに切り替えれば、どーんと音圧が上がってソロに入れる。Fender系のワンボリュームだとこうは行かない
- さらに、この結果、ミッド・ブースト用のZOOM PD-01 PowerDriveの存在価値がやや希薄になったので設定を変更。具体的にはミッドブースト(ゲイン=ゼロ、トレブル=10時、ベース=10時、レベル=2時半ぐらい。つまりトレブルとベースを下げて相対的にミッドを持ち上げたセッティング)をやめて、ソロの時にどうしても、もう少しゲインアップしたいときだけ踏む(従来はソロの時は必ず踏むと言う前提だった)と言う考え方で「ゲイン=ゼロ、トレブル=12時〜1時、ベース=10時〜12時、レベル=1時半ぐらい(細かい調整はもう少し追い込む必要有り)」に変更した
- もっと大事なこと。サウンド全体のクォリティが上がったためなのか、ボリュームの効きだけでなく、GM8Rの筆者オリジナルの配線改造による音色の切り替えがよりはっきりと判るようになった。詳しくはこちら
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言わずもがなの蛇足。KORG DT-7を除く全てのエフェクターの全部で22個のつまみの位置、ギターアンプのセッティング、接続に使用するシールドケーブルやパッチケーブルの品質、そして勿論、GM8Rのピックアップとボリューム/トーンの設定や弾き方、ピックの種類などなど、以上の全ての変数(パラメータ)と組合せは無限※にある。であるからして、仮に筆者と全く同じ機材を使っても、弾き手が違えばセッティングは変わるわけで、その結果、出てくる音は全く異なるものになる。実際には人によって機材も何もかもが違うわけだから、つまり、アマチュア/プロを問わず、ギタリストの出すサウンドはどれもこれも全て違うのが当然と言うことになる。 |
※全部で22個のつまみ〜無限の組合せ:それぞれのつまみの位置を(実際の操作はアナログだからもっと微妙だがとりあえず例えば)20段階とすると順列組見合わせは実に20の22乗根になるから正に無限の組合せとなる。これに他の要素が加わるのだから仮に機材が全く同じでも同じ音が出る可能性は間違いなくゼロである |
そもそも「良い音」とは極めて主観的なものである。筆者が「抜群に良い音」とか「実に気持ちが良いサウンド」とか表現しているのは第一義的には筆者(だけ)がそう感じているに過ぎないことである。勿論、センス(しかるべき感性・感度)と経験と知識の蓄積があれば、自分の創った(あるいは、出している)ギター・サウンドが客観的にどうであるかは判るのだが、一般的(客観的)に「いわゆる良い音(の範囲内)」であるとしても、そこに「好み」という勝手気儘だからこそのややこしい要素が加われば「条件付きで良い音」と言う限られた話になる。 |
例えばロック好きの人間が深く歪んでいるリードサウンドを良い音だと感じたとする。このサウンドをクラシック好きの人間が聴いたら雑音にしか感じない事の方が多いだろう。ウッドストックでのジミヘンのギター・インプロビゼーションのギター・サウンドはロック音楽の門外漢には雑音にしか聞こえなくなって不思議はない。反対にエリック・ジョンソンのライブのギターサウンドはかなり広い範囲の人に良い音だと感じさせるものである。しかし、それですら駄目な人は駄目だと言うことである。もっと分りやすい話、ジャズ好きが大好きなトランペットの音は筆者の嫌いなサウンドのひとつ。サックス系は好きだがトランペットの音は不安定で好みじゃないのだ。と言うわけで、世の中は全てこの調子だから、ロックという音楽ジャンルのエレキギターとエフェクターという狭い世界でも「良い音」の定義なんて決して出来ないのだ。 |
なんて話はどうでもいいが、とにかく、やっとこさ落ち着いた(筈の)我がギター用エフェクターシステム=dpGuitarSystem2=のサウンドこそ、究極の自己満足の実例そのものなのであーる。ちゃんちゃん♪ |
追記:dpGuitarSystem2最新最終版(の筈のバージョン【爆】)ではL字ケーブルが一本余計に必要になるので、早速(すぐには要らないのに)いつもの吉祥寺ロックインで買ってきた。 |
吉祥寺ロックインは地下1階が高級品、1階が普及品と言うフロア構成。なので、まずは地下1階で「Too Expensive【笑】」なケーブルを一応、チェック。5mのL字ケーブルで5〜6,000円近くするProvidenceやMonster Cableなどを買う人もいるのねぇ〜と感心してから1階へ。つまり見るだけ【笑】。そしてロックイン・オリジナルの税込2,940円を購入した。どう考えたってこれで充分である。 |
蛇足その1:かの有名なPete Cornishのプロ用機材にコンパクト・エフェクターをスラント配置したものを見付けた。ピンク・フロイドのリードギタリスト=デイビッド・ギルモアの1994年版の機材である。 |
蛇足その2:「やっぱりアナログ・ストンプボックス中心のシステムは音がいいぞ」の反証的根拠つまり「これが理由でデジタル・マルチは駄目だ」について、あらためて書いておこう。 |
まずはギターをギターアンプにダイレクトに突っ込み、ナチュラル・ディストーション状態にセットして、ギター側フルテンで単弦(単音)を強めにピッキングし、そのまま減衰するに任せる。次にギター側のボリュームを5ぐらいまで下げて同じ事をする。さらにギター側のボリュームを音が出るギリギリぐらいまで下げて同じ事をする。いずれの場合も単弦のギターの音は、それがが完全に消える=聞こえなくなる直前までギターの弦の振動した音である。当たり前だ。 |
次に、全く同じ事をギターとギターアンプの途中にアナログのストンプボックス(オーバードライブ系が最適)をひとつだけ噛ませて行う。dpGuitarSystem2の様なものの場合は、オーバードライブ(dpGuitarSystem2ならXotic AC-Booster)だけをONにすれば良い。こちらの場合、ギターアンプ直に比べると若干ノイズが増えるはず※であるが、他は変わらず、音が消える直前まで、ちゃんとオーバードライブしたギターのサウンドである。これまた当たり前だ。 |
※若干ノイズが増えるはず:エフェクターの残留ノイズである |
そして今度は全く同じ事をデジタル・マルチ・エフェクターでやってみる。チェックすべきは減衰して音が消える直前である。ギターのボリュームを極端に絞ったときはもっと分かり易い。さらに物凄く弱くピッキングするととっても分かり易い。何が分かり易いかと言えば、それは「全然、ギターの音じゃない音がする」のに気が付くことである。ベースを指弾きする人ならもっともっと分かり易い。指弾きなら弦を撫でるような弾き方が出来るので極小音量で鳴らすことが出来るから「変な音」にすぐに気が付くからである。ちなみに筆者がデジタル・マルチ・エフェクターのこの欠点に最初に気が付いたのはベースをデリケートなタッチで弾いているときだった。 |
ここで述べていることは「ああ、あれね」と判る人には判るが判らない人には決して判らないので説明が難しいのだが、とにかくデジタル系のエフェクターの極小音量時のサウンドはギターの音じゃなくなるのである。じゃあ何の音かと言われても困るのだが、これを量子化歪みという。ギターアンプ直、あるいはストンプボックスを通した場合の極小音量をよぉ〜く聴くと、消え入る直前のギターのか細い音と、それをかき消そうとするノイズが混じった状態であるが、それぞれは別々である。しかし、デジタル系の極小音量をよぉ〜く聴くと、同じように消え入る直前のギターの音とノイズが混じった状態なのだが、最後の最後で、この二つは一緒になり(実際にはそれと別にギターアンプのノイズも聴こえるが、それは別のものとして聴こえるので除外して)つまりギターの音ではない状態となって、やがて無音になるのである。 |
もうひとつ実験してみよう。デジタル・マルチ内蔵のノイズゲートをONにする。ギターをフルテンにして弦から手を離すと「シー」とか「サー」とか、何らかのノイズを発生するが弦に手を(指を)触れれば人体アースが作用して無音になる。そこで耳を澄ませながら、可能な限り弱いタッチで単弦を鳴らしてみる。その瞬間、小さなギターの音と同時に「シー」とか「サー」とかのノイズも聞こえ始めるはずである。これも量子化ノイズである。ここで単弦を再度、今度は強くヒットするとノイズは全く気にならない。これはSN比の問題で当たり前。 |
音楽CDではそれまでのアナログソース(LPレコードやカセットテープ)と違って、無音部分は無音である。LPレコードのように曲間の無音部分のスクラッチ・ノイズを気持ちの上で無視しなくても良い。本当に無音だからである。だからデジタルはノイズがないと思ったら、それは大間違いなのである。音楽CDはプロ用レコーディング機材(正確にはマスタリング機材)を使ってフェイドアウトの曲は綺麗に減衰して無音の曲間に繋がるが、ギター用のデジタル・マルチにはそこまでの性能はない。なので小音量時にはデジタル録音方式の最大の欠点=小音量に弱い=がもろに出てしまうのである。この結果、非常に不自然な音の消え入り方になるのである。 |
デジタル・マルチの欠点はもうひとつある。それはレイテンシーの問題。レイテンシーとは動作遅れのこと。分かり易く言えば、デジタル・マルチ・エフェクターは内部に大抵は1個のDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)を持ち(DigiTech の高級品のように複数個のDSPの場合もある)、そのDSPが内蔵する複数のエフェクター(効果=つまりはプログラム)を再現(実行処理)するわけだが、一度に沢山のエフェクター(効果)を掛ければ、当然、DSPの処理速度は遅くなる。その結果は出音の位相差となって現れる。これ、パソコンにインストールして使うギター用のシミュレータなどで言われるレイテンシーとは異なり、出てくる音が遅れて感じるとかそう言うことではなくて、立上りが鈍くなって音が引っ込むのである。 |
この結果、デジタル・マルチ・エフェクターのサウンドは、単体で鳴らしていると良い音だが、バンドと一緒に演奏すると見事に埋もれてしまうのである。それをどうにかしようとするには単純に音量を上げるしかないのだが、そうしても結局はバランスが取れないのである。結果、例えばソロでバーンと音圧を上げて気持ち良く音を通らせることが出来ない。しかも前述の量子化歪みの影響で小音量で綺麗な音を出すのも難しい。 |
以上の問題は原理的にアナログ系のストンプボックスでは起きない。また、プロが使うラックエフェクターでも起きない(デジタル・マルチとは比較にならないぐらいに高額なのはレコーディング機材に近いか同等の性能だからである)。dpGuitarSystem2にはBOSS DD-6 Digital Delayが組み込まれているが、これは単体のデジタル・ディレイだし、そもそもディレイは生音とディレイ音を別々に出力するので二重の意味でレイテンシーの問題は無視できる。量子化ノイズの問題はフィードバック音だけに関わることだし、フィードバック音は(ダブリング・ディレイで無い限り)最初からレベルが低いから問題がない。 |
以上の結果、前から書いている通り、名の通ったプロギタリストがフロアタイプのデジタル・マルチ・エフェクターをライブで使うなんて事はまず有り得ないと言うことになるのであるのであるのである。ちゃんちゃん♪ |
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