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2000.05.01[火]
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愛車遍歴
愛車 No.06
トヨタ セリカXX2600G
もはや社会人であり、真面目なサラリーマンとしてはカーキチ三昧どころではないぞと誓った筆者はアルフェッタを後輩に売却し、当たり前の車を買おうと思ったが、実際に買ったのはトヨタ・セリカXX2600Gと言う、いわゆるスペシャルティカーであり、アルフェッタの影響下から、ショックアブソーバーはKONIスペシャルD、タイアはミシュラン、そしてホイールはカンパニョーロにした。これじゃちっとも普通じゃないじゃないか状態なのであった。しかし生まれて初めて冗談でオートマにしてみたとか、最初から割りとどうでも良いというノリではあった。それまで運転とは筆者にとってダブルクラッチと同義語だったのにである。このセリカXXはアルフェッタと比べれば静かで楽ちんだったが、当然のように操縦性はダルであり、室内は狭くヘッドクリアランスはミニマム以下であった。排気量が大きいから動力性能はアルフェッタと同じぐらいだったが。

そして問題の日。XXを購入して4ヶ月後の12月29日。この日はレナウンの棚卸しの日。既に営業系の同期の連中は苗場でスキーをしている。筆者は仕入れ係だったので棚卸しに立ち会わなくてはいけないのである。朝から始めて19:30に棚卸し終了。レナウンの倉庫にはスキー道具一式を積み込んだXXで来ていた。
直ちに出発。関越道も一般国道も何故かスピードメーターが差す速度は一緒。そして苗場まで後30分弱、そのままならナイタースキーに間に合うというジャストなタイミングで三国峠手前の月夜野橋を渡った。そこから長い真っ直ぐな上り坂である。
アクセルは全開。速度は160km/h(をいをい)。対向車は一切なし。自分の車線の前方にはゆっくりと重そうに坂道を上るダンプカー。
そこで筆者はアルフェッタの時と全く同じタイミングで追い越しのためにハンドルをさっと右に切った。次の瞬間、セリカXXはたちまちにしてスピンをし始めた。慌てて逆ハンを切るがセリカXXは全く反応しない。ブラックアイスだったのである。過去、全く同じ状況でアルフェッタならどうにかなった。しかしセリカXXではどうにもならなかった。この後、どうなったか。
信じがたいことだが、セリカXXは二回転半スピンしながらダンプカーを追い越して元の車線に反対向きに戻り、そのまま道路脇の高さ10cmほどの縁石を踏み越えて止まったのである。ダンプカーはゆっくりと、対向して亀状態になった筆者のクルマを追い越していった。

つまり結果としては自損事故である。
実際問題として大した衝撃もなければ怪我もなかったからクルマを降りた筆者はセリカXXの周りをざっと回って、見た目には一見、何ともないことを確認。これなら苗場に行けるかなと思ったのだが、そうこうしているうちにエンジンの辺りからオイルが漏れてくるのが分かった。下を覗いてみると、オイルパンがちょうど縁石の真上の乗っかっている。割れたのだ。
そして更に縁石にぶつかった側(運転席側)のタイアから見る見るうちに空気が抜けていく。そこで良く見ると、なんとカンパニョーロのマグネシュームホイールがバラバラに砕けているではないか!! そうなのである。鍛造マグネシュームは頑丈なのだが、限界を超えると曲がるのではなく砕けるのである。
つまり自走は全く不可能。
そこで、ちょうど亀になっているすぐ脇の家の奥に通じる路地を通って家の人に声を掛けて電話を借りてタクシーを呼んで貰った。暫くするとタクシーと同じタイミングでパトカーも来た。状況を説明すると、お巡りさんは「とにかく邪魔だからクルマをどけろ」と言う。そんなこと言われたって、片側のホイールが前後ともバラバラで、オイルパンは縁石に乗っかっているんだから簡単に動くわけがない。結局、無理矢理エンジンを掛けて、お巡りさんとタクシーの運ちゃんに押して貰って、反対側の空き地にのたのたと移動した。そうしたらパトカーはさっさと行ってしまった。違反にならないなら、これはらっき〜♪と言うことで荷物をタクシーに積み替えて苗場へ向かうことにした。

この時、電話を借りたお宅とは未だに年賀状のやり取りがある。それはさて置き、さっきのパトカーがあっと言う間に行ってしまった理由はすぐに分かった。タクシーで三国峠を越えたわけだが、そこから苗場までの間に10数台の車がガードレールを超えて崖下に落ちていたり、あるいは対向車と正面衝突をしたりの修羅場大会だったのである。その晩は急激に気温が下がり、ブラックアイスと降雪で重大事故が多発したのである。だから筆者のような人身事故も物損事故も伴わない単純な自損事故は警察としてはまったくどうでも良かったのである。

かくてセリカXXはわずか4ヶ月の命となった。運転席側のマグネシウム・ホイールがばらばらになる程の衝撃というのはかなり凄いもので、後で整備工場で内装を全て外した状態の所を見たのだが、サスペンションの取り付け部がフロアパンを斜め上方に突き上げており、牽引や板金では絶対に完全には治らない状態となっていた。板金のおじさんが「この車に乗っていた人はどうなったんでしょうかねぇ?」と聞くから「ここに居ますよ」と答えたら呆れられたが、結果的に筆者が無事だったのはカンパニョーロがクラッシャブル・ゾーンとなって衝撃を吸収したからだろう。とにかく整備工場には「外見だけ完璧にして」と指示して、修理が出来た後は環八方面の現金買い取りショップに結構高い値段で売り飛ばした。もう時効だから書いちゃうけど、なにしろ真っ直ぐ走らないんだから、あれを買った人はどうなったんだろう? と言うわけで、筆者は絶対に中古車は信用しません【苦笑】。
猫 チンチラ 来夢&来喜
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